スマートシティ化の実践事例

最終更新日:2021年01月04日

すでに世界各地では、さまざまなケースのスマートシティ化が実践されています。日本も多くの計画は2000年ごろから開始されました。2020年5月27日「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」の成立によって法整備が整い、本格的にプロジェクトが進められています。国内外で進められているスマートシティ化の事例をみていきましょう。

海外の事例

2000年以降、海外の多くの都市でスマートシティ化が実践されました。電子政府の導入や交通システムのスマート化などさまざまなケースをみることができます。これらの事例は、日本で提唱されているスーパーシティ構想の指針にもなりますので、どのような事例があるかみていきましょう。

電子政府の導入(エストニア)

北ヨーロッパのエストニア共和国では電子政府の取り組みを1994年から始めました。実際に電子政府が開始できたのは2001年。さまざまな行政や住民の分散されたデータを安全に連携できるX-ROADの導入からです。X-ROADとはエストニアのIT企業が開発したプラットフォームで、すべての送信データをデジタル署名などで暗号化して記録・管理できるデータ交換システムで、都市OSの元祖と呼べるものでしょう。

行政の情報システムとデータベースは国家情報システムの管理システム(RIHA)によって分散管理しています。住民登録や法人登記などの行政書類は、ICチップ入りIDカードで電子政府のポータルサイトから申請や取得が可能です。

医療分野では、エストニア全土の医療機関システムと接続し、個人の医療記録を医師が閲覧できる電子保険記録システムがあります。すべての病院でX線写真がデータ共有される電子画像管理システム、病院のオンラインで予約システム、電子処方箋システムなどが導入されています。

教育分野では、先生や生徒の間で成績・指導・試験結果などを蓄積・共有できるアプリケーション(eKool)を使用。生徒を含む教育機関データベースのエストニア教育情報システム(EHIS)、オンラインで大学入学願書の提出ができるSAIS(入学情報システム)など、入学から卒業後もデータ利用ができる機能が導入されています。

この他にも、外国からの投資や企業誘致を促進するための電子居住権制度(e-Residency)を導入しています。IDカードが保持する情報に基づいて自動的に金額が引き落とされるキャッシュレス。海外からも参加可能な電子閣議。インターネットによる国政投票、税金、警察、住民登録、法人登記など、さまざまな行政機能を電子化して国民の利便性を高めています。

都市インフラのスマート化(スペイン・バルセロナ)

スペインのバルセロナでは、2000年からスマートシティ化を実践しています。主な取り組みとして、市内には約12000個のセンサーを設置して、電気消費量・騒音・温度湿度・駐車状況・大気質・交通量(自動車、人、自転車)、ゴミ箱の状況などのデータを常に収集しています。

これらの収集されたデータやGPS情報をもとに、駐車場、バス停、ゴミ収集の空き状況、運行状況をWi−Fi経由で市民への情報提供をしています。市内の街路灯をLED化、IPカメラによる不審者監視、通行人の流れを把握などの生活保守や安全管理を実施しています。

2015年にはバルセロナ・デジタルシティ計画をスタート。「City OS」というプラットフォームをベースにデータを公開して市民による新しいサービス創出につなげています。

他にも、政策の閲覧や意見提出ができるオンライン参加型プラットフォーム「Decidim」、スタートアップ企業の拠点となる「Fab Lab」があります。市民がテクノロジーを学びプロジェクトに参画できる「22@Barcelona」など、市民が街づくりに主体的に取り組めるプログラムの提供も行われています。

データ集約型の都市(カナダ・トロント)

カナダのトロント市政府は、ウォーターフロントエリアの再開発計画を2017年に公募し、Google系列のサイドウォークラボ社が受託しました。2019年に発表した再開発プロジェクトのマスタープランは、人や交通などの動きをセンサーで把握するビッグデータ活用型の計画でしたが、個人情報を収集することへの近隣住民による懸念を表明されていました。

これを払拭することができないまま、2020年5月に新型コロナウィルスの影響で事業採算性が取れないことを理由に事業から撤退し、プロジェクトは中止されてしまいました。

その他の海外事例

UAE(アラブ首長国連邦)のドバイ政府による自動運転パトカーや空中タクシーなど先端的技術が導入された社会。中国の巨大Eコマース企業であるアリババと杭州市によるAI・ビッグデータを活用した交通渋滞の緩和。シンガポールでの電子政府化、オランダ・アムステルダムでのエネルギー消費の削減やCO2排出量の削減を目標とした省エネ都市など、世界中のさまざまな都市でスマートシティ化が開始されています。

国内の事例

国内でもさまざまなプロジェクトが進行しています。中でもトヨタ自動車(株)の「Woven City」や三井不動産(株)の「柏の葉スマートシティ」は、企業が主体的に行うために、新しいビジネスモデルを創出しやすいでしょう。

静岡県裾野市「Woven City」

トヨタ自動車(株)が主導する「Woven City」プロジェクトは、2021年2月23日に地鎮祭を行ない、本格的にプロジェクトが始動しました。ウーブン(Woven)とは"織物"の意味で、道が網の目のように張り巡らされる街の姿から名付けられています。最初の住民はトヨタの従業員やプロジェクトの関係者など2,000名ほどが生活する予定になっています。

「Woven City」は、企業が街づくりの中心となり、新しい技術の導入・検証を人々がリアルに生活する環境のもとで行われる実証都市になっていく予定です。街の中には、自動運転、都市にある複数の交通を最適に利用できる統合サービスのMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)があります。パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、AI技術などの先端技術があらゆる場面で活用され、暮らしを支えます。

自動車メーカーが都市開発に関わることで、自動運転や交通システムに強みを持った都市の実現が期待できるでしょう。

千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」

千葉県柏市と三井不動産(株)が進める「柏の葉スマートシティ」は、「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」の3つを街づくりのテーマに掲げた未来都市構想です。

柏市の都市計画に基づいた区画整理事業が2000年から開始され、2005年つくばエキスプレス「柏の葉キャンパス駅」の開業。2008年に千葉県・柏市・東京大学・千葉大学による「柏の葉国際キャンパスタウン構想」によって公・民・学が連携して街づくりを実行するなど、街の機能が年々アップデートされてきました。現在、開発は第2ステージに入っており、大学・病院・商業施設を柏の葉キャンパス駅から半径2km圏内に配置、人や情報などを駅周辺に集中させてデータ収集と活用を実施します。

もともと街づくりに強い不動産デベロッパーが主導的に開発することで、スムーズで計画性の高いスマートシティを実現していけることが利点でしょう。

全国に広がるスマートシティのネットワーク

ご紹介してきた国内事例以外にもあります。

  • ・ソフトバンク(株)と東急不動産(株)が開発する都市型スマートシティ「Smart City Takeshiba」
  • ・福島県会津若松市「スマートシティ会津若松」
  • ・香川県高松市「スマートシティたかまつ」
  • ・埼玉県さいたま市「スマートシティさいたまモデル」
  • ・神奈川県横浜市「横浜スマートシティプロジェクト」
  • ・北海道札幌市「DATA-SMART CITY SAPPORO」
  • ・兵庫県加古川市「加古川スマートシティプロジェクト」
  • ・福岡県北九州市「北九州スマートコミュニティ創造事業」

など、国内でも多くの都市でスマートシティ化に向けたプロジェクトが進行しています。

今後、全国のスマートシティ同士がそれぞれ接続されていくことで、都市間の移動や移動先でも住んでいる街と同じようなサービスが受けられる可能性があるかもしれません。将来的にそれぞれがどのように発展していくか開発状況を見守っていきましょう。

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