キャッシュレス導入前に知っておくべきデメリットとは

最終更新日:2020年12月04日

2019年10月に消費税が8%から10%に引き上げられました。その際の消費喚起策としてポイント還元事業が実施されたことで、キャッシュレス決済に注目が集まりました。

ポイント還元事業終了後も国がキャッシュレスを普及するために、さまざまな施策が行われています。これからキャッシュレス導入を検討している企業や店舗がキャッシュレス化で売上アップや業務効率化ができるように、デメリットやメリットについて説明します。

キャッシュレス決済とは

キャッシュレス決済とは、「現金以外の決済方法」のことです。現在のキャッシュレス決済には以下の5つがあります。

  • ・電子マネー
  • ・デビットカード
  • ・QRコード決済
  • ・クレジットカード決済
  • ・仮想通貨

キャッシュレス決済はそれぞれに特典や利便性があるため、ユーザーは企業や店舗の特典やサービスに応じて使い分けを行っています。

キャッシュレス決済の支払い方法とは

現金の受け渡しは、新型コロナウイルスの感染リスクがあり、感染症対策としてキャッシュレス決済が奨励されています。キャッシュレスは会計時の金銭授受がないため、感染リスクが低くなります。

また、キャッシュレス決済の支払い方法によっても感染リスクは異なります。キャッシュレス決済の支払い方法は、プリペイドカードによる非接触のタッチ式やクレジットカード、デビットカードのスライド式とICカードの読み込み式があります。スマートフォン決済は、カメラスキャナでQRコードを読み込む方法やバーコードを表示させて、店舗側が決済用端末で読み込む方法があります。

決済方法が非接触によるものが注目されているので、感染症対策として、店舗やユーザーで利用されています。

キャッシュレス決済の中にはレシートの授受がないものがあります。現金やレシートなど一切の授受がなくなるので、感染リスクを軽減して買い物ができるようになります。

キャッシュレス決済のデメリット

キャッシュレス決済の導入効果として、消費者の利便性向上、店舗の効率化、インバウンド消費の拡大などが上げられます。しかし、キャッシュレス化によるデメリットもあり、企業や店舗は導入前にデメリットを知り、対策を考えなければ効果をあげることはできません。

大臣官房総合政策課の石本、深澤、白井による 「日本におけるキャッシュレス決済の進展後今後の展望」における考察コラムを参考にして、キャッシュレスのデメリットについて紹介します。

手数料が高い

キャッシュレス決済を導入することで、現金決済にはない決済手数料や加盟店手数料が発生します。クレジットカード決済の場合、事業規模や業種によって1%~6%の手数料がかかります。また、スマートフォン決済は決済会社や決済代行会社によって2%~3%の決済手数料が発生します。

これまで現金決済のみ行っていた企業や店舗にとって手数料は高いと感じることが多く、キャッシュレス導入をしない一番の理由となっています。

ただし、これまでクレジットカード決済を扱っている飲食店は、クレジットカードの決済手数料よりスマートフォン決済手数料が安くなるため、決済方法を変える店舗もありました。

キャッシュレス導入によるメリットを感じられない

国がキャッシュレス化を推進するメリットは、「消費者の利便性向上」「店舗の効率化」「インバウンド消費」の3つを上げています。

しかし、実際にキャッシュレスを導入した企業や店舗がキャッシュレスを続けない理由として、「メリットを感じられない」と回答しています。その理由について説明します。

消費者の利便性向上にならない

現状のキャッシュレス決済比率を見ると、キャッシュレス決済は3割未満となり、大多数の消費者は現金決済を行っています。まだ、消費者がキャッシュレスの利便性について認知せず、利用に至っていない可能性があります。

店舗の効率化が図れない

店舗側がキャッシュレス導入による業務効率化が図れていないのも理由の一つです。キャッシュレス決済を導入することで、現金との二重管理が発生し、経理業務が増えます。

キャッシュレス決済導入は、レジ担当者へ操作方法の指導、研修が必要です。また、マニュアルの準備やオペレーションの構築などの負担が発生することもデメリットになります。

インバウンド消費がない

2020年の緊急事態宣言に伴う入国制限措置で、外国人観光客の訪日がありませんでした。インバウンド需要が大幅に落ち込み、キャッシュレス決済のメリットが活かせていません。

今後、国際的なイベントの開催により外国人観光客の来日が見込まれます。これからのインバウンド消費に期待しましょう。

現場スタッフの対応が難しい

キャッシュレス決済は、お客様の決済サービスアプリやデバイスごとの対応方法を覚える必要があります。また、キャッシュレスに不慣れなお客様へ使い方の説明も行うため、 現場スタッフへ決済方法や対応方法の研修実施やマニュアルが必要となります。

普段からキャッシュレス決済を利用していないスタッフが、キャッシュレス決済を取り扱う難しさもデメリットになります。

導入費用が高い

キャッシュレス決済を導入には、ネット環境と決済用の専用端末、加盟店登録手数料など、さまざまな導入コストがかかります。すべてを購入すると費用負担が大きくなります。

専用端末などの機器を無料・格安でレンタル、リースする決済代行業者もありますが、決済手数料が高くなります。

これまで使用していたレジの買い替えやシステムの入れ替えなど、導入費用がかかることがデメリットになります。

セキュリティー対策が必要

キャッシュレス決済は現金紛失・盗難のリスクを減少させますが、不正ログインやスキミングなど新たなセキュリティー対策が必要となります。決済データは顧客情報だけでなく、金融情報も含まれるため、厳重な取り扱い、管理が必要となります。キャッシュレス決済は、現金管理以上にデータ管理に細心の注意を払わなければいけません。

参考:金融庁 日本におけるキャッシュレス決済の進展と今後の課題 https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202009/202009m.pdf

キャッシュレス決済が多い企業はより厳格な取り扱いが求められます。

『①情報資産を適切に管理するために方針の策定、組織体制の整備、社内規程の策定、内部管理態勢の整備を図っているか。また、他社における不正・不祥事件も参考に、情報セキュリティー管理態勢の PDCA サイクルによる継続的な改善を図っているか。

② 情報の機密性、完全性、可用性を維持するために、情報セキュリティーに係る管理者を定め、その役割・責任を明確にした上で、管理しているか。また、管理者は、システム、データ、ネットワーク管理上のセキュリティーに関することについて統括しているか。

③ コンピュータシステムの不正使用防止対策、不正アクセス防止対策、コンピュータウィルス等の不正プログラムの侵入防止対策等を実施しているか。』

引用:金融庁 前払式支払手段発行者関係向けガイドライン https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kaisya/05.pdf

キャッシュレス決済利用者が増えることで、個人情報の管理に業務負担が増えることがデメリットになります。

キャッシュレス導入には事前の準備が必要

消費税増税時の消費喚起策として、キャッシュレスブームがありました。キャッシュレス導入補助金やポイント還元事業により、キャッシュレスを導入した4割の事業者には売上効果や業務効率化の効果があったとされています。

しかし、ポイント還元事業終了後に現金決済に戻した企業や店舗も多くあり、キャッシュレスのメリットや生産性向上の効果を上げるには、企業や店舗側のデメリットに対しての事前の準備や対策が必要です。

キャッシュレス決済で業務効率化や売上アップに成功している企業を参考にキャッシュレス決済の活用方法を検討していきましょう。