キャッシュレス決済比率からインバウンド需要について

最終更新日:2020年12月05日

日本のキャッシュレス決済比率は、消費税の増税によるポイント還元事業で増加傾向にありますが、他国と比べてもまだ普及していないのが現状です。 国は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%までに引き上げることを目標にしています。

将来的には世界最高水準の80%を目指すことを目標にしていることから、これからキャッシュレス決済が普及拡大されることが予想できます。

ここでは、キャッシュレス決済比率の現状やキャッシュレスのインバウンド需要について説明します。

日本のキャッシュレス決済比率推移

日本のキャッシュレス決済比率の推移は、2015年が決済比率18.8%で決済金額が約50兆円でした。年々決済比率は増え、2018年には決済比率24.8%で決済金額が約70兆円、2019年には決済比率27.2%で決済金額が約80兆円まで増加しました。

参考:財務省:日本におけるキャッシュレス決済の進展と 今後の課題 https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202009/202009m.pdf

日本と世界のキャッシュレス決済比率とは

世界各国のキャッシュレス比率(2016年)では、決済比率が高いのが1位の韓国96.4%です。2位のイギリスが68.6%、3位中国65.8%、続いて、オーストラリア、カナダ、スウェーデンが50%代です。アメリカ、フランスは約40%、インドは約35%で日本は約20%と諸外国に比べ、キャッシュレス決済比率が低いことが分かります。

国は大阪・関西万博(2025年)に向けて、キャッシュレス決済比率40 %の目標として、さらなる普及拡大を目指しています。

国がキャッシュレス推進を行う意義・メリットとは

国がキャッシュレスを推進する意義として、3つメリットを上げています。

消費者の利便性の向上

現金管理が不要で、手ぶらで簡単に買い物ができます。キャッシュレス決済と家計簿アプリの連携で収支情報管理が容易になります。

店舗の効率化・売上拡大

現金管理作業が削減できます。売上現金の紛失・盗難のトラブル減少やリスク回避ができます。インバウンド需要取込など売上拡大、新規顧客獲得が可能になります。

データの利活用

顧客の購買情報を分析・利活用することにより、高度なマーケティングやターゲット層向けの商品・サービスの開発が可能になります。

キャッシュレス導入によるインバウンド消費の拡大

キャッシュレス導入メリットとして、インバウンド需要による売上拡大が期待されています。 訪日外国人にとって旅行先で現金決済する場合、為替コストがかかります。また、現地の紙幣・硬貨に不慣れで取引の不安や負担があることから、母国と同じキャッシュレス決済が求められています。

キャッシュレス決済が訪日外国人の売上向上につながる理由があります。訪日外国人の約7割がキャッシュレス決済の利用ができる場所が今より多かったら、「もっと多くお金を使った」と回答しています。

特に訪日客数1位の中国や6位のタイからの観光客は、約85%以上が、「もっと多くお金を使った」と回答しています。

参考:経済産業省:キャッシュレスの現状及び意義 https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf

国は決済環境の整備がもたらすインバウンド消費の拡大を期待し、キャッシュレスの普及推進を行っています。

オリンピック、万博開催によるインバウンド需要

2021年の東京オリンピック・パラリンピックや2025年の大阪・関西万博と大きなイベントが予定されています。これからますます増える訪日外国人は東京・大阪の都市だけでなく、地方にも多くの外国人観光客が訪れ、経済活動が高まることが期待されます。

インバウンド需要を取り込むためにも店舗、企業のキャッシュレス導入が必要となります。

沖縄県内のキャッシュレスの現状

ポイント還元事業の還元登録加盟店数をみると、都道府県別の人口当たりの加盟店舗登録数で沖縄県は4位とキャッシュレス導入店舗が増えています。

参考 経済産業省:キャッシュレス決済を取り巻く環境の変化と本検討会で議論いただきたい点 https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612006/20200612006-4.pdf

外国人観光客調査によるキャッシュレス利用について

県が令和元年度に実施した「Be.Okinawa Free Wi-Fi活用キャッシュレス整備実証事業 」の報告書には、外国人観光客へキャッシュレス利用についてのアンケート調査結果があります。

外国人観光客アンケート方法は面接聞き取り調査で、那覇空国内線制限エリア内と那覇港クルーズターミナルで行われました。

参考:沖縄県 令和元年度県内キャッシュレス関連調査及びBe.Okinawa Free Wi-Fi推進委託業務報告書 https://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoshinko/documents/beokinawafreewifichshless1.pdf

外国人観光客の回答者の属性とは

アンケートに回答した観光客の国籍・地域別上位は台湾28.6%、中国25.7%、韓国20.2%でした。他に香港10.1%、欧米豪5.3%、タイ4.8%、シンガポール3.8%、マレーシア1.4%です。

回答者の年代別では30代が最も多く44.4%です。次に20代が22.8%、40代19%、50代7.7%、60代3.8%と、20代30代の観光客が多くみられます。

沖縄県の滞在中のキャッシュレス決済について

キャッシュレスの利用について、67.8%がキャッシュレス決済を利用していると回答。国籍・地域別をみると中国の81.3%が最も多く、欧米豪77.3%、シンガポール75%と、回答者の半数はキャッシュレスを利用していると回答しています。

また、キャッシュレス利用者を年代別で見ると、20代から40代は約70%が利用していますが、50代、60代は約40%が利用していると回答しています。

外国人観光客が利用したキャッシュレス決済(回答有のみ)とは

利用したキャッシュレス決済については、クレジットカードの利用が最も多く、VISA53.8%、MASTER30.1%、銀聯26.2%が上位となりました。利用回数、利用金額ともにVISA、MASTER、銀聯が上位となります。

他にもアリペイ、ウィーチャットペイ、JCBなどを利用していると回答がありました。

キャッシュレス決済利用した理由は、「便利・使いやすい」が最も多く、国籍・地域別をみると、中国人観光客は「便利・使いやすい」(88.4%)の回答が多く、台湾人観光客は「ポイント、割引や還元などキャンペーンがある」(38.8%)の回答が多くありました。

台湾人観光客など、海外観光客にもキャッシュレスのポイント付与、割引キャンペーンに販促効果があると推測されます。

キャッシュレス決済の不満の理由

多くの外国人観光客が、キャッシュレス決済手段に満足していますが、不満の声もありました。キャッシュレス決済ができる施設が少ないと75%の回答があり、どのキャッシュレスを利用できるか分からないという回答が12.5%ありました。

今後のインバウンド需要獲得に向けて、県内でもさらにキャッシュレス導入店舗の普及推進が必要となります。

キャッシュレス決済でインバウンド需要の取り込みがチャンス

観光業が基幹産業の沖縄で、お土産品店や飲食店のキャッシュレス決済の導入が観光客の利便性や満足度向上に必要不可欠といえます。また、キャッシュレス決済が可能な店舗でも現金決済をしているケースがあり、外国人観光客へキャッシュレス決済可能とPRすることでさらに集客や売上向上につなげることができます。

沖縄県は観光資源が多く、国内観光客だけでなく、海外観光客にも人気のリゾート地です。このリゾート地に訪れる多くの観光客が、快適で便利、かつ安心して旅行が楽しめるように、キャッシュレスの必要性は今後もさらに高まると予想されます。