キャッシュレス決済の利用率とこれからのニーズについて

最終更新日:2020年12月03日

2019年10月の消費税増税に伴い、キャッシュレス・ポイント還元事業が始まりました。消費者はキャッシュレス決済することで、最大5%のポイント還元を受けられました。キャッシュレス決済の導入コストや決済手数料に補助金が投入され、企業や店舗はポイント還元による集客力のアップやレジ業務の効率化が図ることができました。

キャッシュレス・ポイント還元事業は、キャッシュレス市場拡大に大きく貢献したと言われています。

2020年12月に一般社団法人キャッシュレス推進協議会の行ったWEBアンケートで、キャッシュレス調査の結果をまとめています。この調査結果を参考にキャッシュレス決済の利用率やこれからのニーズについて説明します。

ポイント還元開始前後のキャッシュレス決済の利用率

キャッシュレス調査は、2019年9月、2020年5月、2020年10月にそれぞれWEBアンケートを実施しています。

キャッシュレスの利用率、地域別や年代別、利用頻度の変化など、さまざまな調査結果がまとめられています。ここではポイント還元開始前後の利用率の変化について説明します。

地域区分別の支払手段の変化

地域区分別とは、町村部、人口10万人未満都市、人口10万以上都市、人口20万人以上都市、政令指定都市・東京23区内の5つの地域で調査しています。

キャッシュレス利用の変化について、どの地域でも40%強の消費者が還元事業をきっかけにキャッシュレスを始めたと回答しています。

年代別の支払手段の変化

消費者の年代別データによると、20代から60代は約50%前後、10代と70代以上の約30%の消費者が還元事業をきっかけにキャッシュレスを始めた、または支払手段を増やしたと回答しています。特にキャッシュレス決済を始めた消費者の数が多い年代として20代と30代、続いて、40代、50代、60代の順になります。

年代別キャッシュレス利用頻度の変化

ポイント還元事業開始前と比べて、事業終了後でも約 3割から4割の消費者が利用頻度を増やしています。その内訳として、20代から60代の約4割以上、10代及び70代以上で約3割となっています。

また、ポイント還元事業終了後のキャッシュレス利用について、10代から70代のどの年代でも80%前後がポイント還元事業終了後もキャッシュレスを利用したいと回答しています。

地域区分別の町村部から政令指定都市・東京23区内のすべての地域において、80%以上の消費者がポイント還元事業終了後も、キャッシュレス支払いを利用したいと回答しています。

ポイント還元事業終了後、キャッシュレス支払いを利用したくないと回答したのは、20%以下となり、キャッシュレス利用者の満足度は高いと推測できます。

店舗向けポイント還元事業の効果

キャッシュレス普及のポイント還元事業は、店舗にどのような効果を与えたのでしょうか。地域区分別や売上規模ごとの導入率や売上アップの効果について説明します。

地域区分別キャッシュレス導入状況

キャッシュレスの利用については、地域全体で約27%から約37%に導入率が増加しています。また都市部より町村部は導入率が高く、約23%から約41%まで普及しています。

地域別で比べると、政令指定都市・東京23区と町村部は同じ40.5%と普及率が高く、人口10万人未満から20万人以上の都市は約35%でした。

地域区分別・売上規模別の売上確保効果

還元事業参加店舗の約40%は売上に効果があったと回答しています。売上効果が一番高い地域は、人口10万人以上都市で約55%、次に政令指定都市・東京23区の約48%となります。

売上規模別では、3億円より多く5億円以下の売上規模店舗で約75%、次に5億円より多く10億円以下の売上規模店舗で約70%、10億円より多い売上規模店舗で約66%の売上に効果があったと回答しています。

売上高が1000万円以下の店舗では、売上に効果があったと回答したのは、30%未満しかなく、小規模事業者にはキャッシュレスの効果が薄いと回答がありました。

地域区分別・売上規模別の業務効率化効果

業務効率化の例として両替の回数が減る、レジ締めの時間が短縮されるが上げられています。キャッシュレスを導入、または追加した店舗の約46%が業務効率化に効果があったと回答しています。効率化の効果があったと一番多くの回答があったのが、政令指定都市・東京23区、次に人口10万に以上都市です。

売上高でみると、3億円より多く5億円以下の店舗が75%と一番高く、1億円以上の店舗は60%以上が業務効率化の効果があったと回答しています。

売上高が1億円以下の店舗は、50%以下しか業務効率化の効果を感じていません。 売上高の低い店舗にとって、キャッシュレスによる集客効果や業務改善の効果が薄いことが今回のアンケートで分かります。

参考:2020年12月一般社団法人キャッシュレス推進協議会 キャッシュレス調査の結果について https://cashless.go.jp/assets/doc/201211_questionnaire_report.pdf

キャッシュレス決済のニーズとは

キャッシュレスは、決済の種類と年齢層によって利用頻度が変わっています。自社のターゲットの年齢層に合うキャッシュレスはどれか、WEBアンケートの回答データで知ることができます。

クレジットカードは50・60代の利用が多い

キャッシュレスの中で、利用率が高いのがクレジットカード決済です。50,60代の利用が多いですが、10代を除くすべての年代で、1週間に1回以上、1ヶ月に1回以上利用している人が30%以上います。

デビットカードは20代・30代の利用が多い

デビットカードは20代・30代の利用が多いですが、利用率は1週間に1回以上から1度でも利用したことがある人を全て含めて、利用率は20%未満です。 キャッシュレス決済の中では、利用頻度の低い決済方法といえます。

交通系電子マネーは10代・20代の電車・バス利用が多い

交通系電子マネーを電車・バスでの利用しているのは、20代が一番多く、10代、30代でも多く利用されています。

交通系電子マネーは20代の買い物での利用が多い

20代は通勤、通学に利用する交通系電子マネーを買い物にも併用しているとアンケート結果から推察できます。ただし、クレジットカードやプリペイド式電子マネー、QRコード決済に比べて、1週間に1回以上を利用する人が少ないことが分かりました。

交通系以外のプリペイド式電子マネーは50代・60代の利用が多い

交通系以外のプリペイド式電子マネーは、流通系といわれるショッピングセンターやデパート、量販店が発行している電子マネーです。食料品や日用品の買い物で、電子マネー決済をするとポイントがたまります。買い物が多い年代での利用率が多い理由が分かります。

QR/バーコード決済は20代・30代の利用が多い

QRコード、バーコード決済はクレジットカード決済の次に1週間に1回以上利用されている決済方法です。

QRコード、バーコード決済はスマートフォンを使う必要がありますが、スマートフォンの保有率は80%を超え、これからさらにニーズがある決済方法になると予想されます。

参考:総務省:情報通信機器の保有状況 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html

キャッシレスのニーズは少額決済

2019年10月から2020年3月のポイント還元事業における各決済手段の決済金額や回数を参考にすると、対象決済金額が一番多いのはクレジットカード決済で64%。次にその他電子マネーで約29%、QRコードで約7%です。

決済回数はその他電子マネーで約55%、クレジットカードで約29%、QRコード決済で約16%の順になっています。

決済単価はクレジットカードが約4600円、その他電子マネーは約1100円、QRコードが約1000円となります。決済金額別決済回数では、500円未満が約37%、500円~1000円未満が約24%と半数を占めています。1000円~3000円未満で約25%となりますが、3000円~5000円未満で7%。5000円以上で約8%とキャッシュレスは少額決済で多く利用されています。

参考:経済産業省:キャッシュレス決済を取り巻く環境の変化と本検討会で議論いただきたい点 https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612006/20200612006-4.pdf

売上向上を目的にキャッシュレスを導入検討するなら、ターゲットとなる年代や客層、客単価に合わせたキャッシュレス決済サービスを提供しましょう。




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