AIにできること
最終更新日:2021年02月06日
AIにできること、できないこと
AIには人間にはできないような能力を発揮できることと、人間なら簡単にできるのにAIにとっては苦手でうまくできないことがあります。ここでは、AIにできる得意なことと、苦手でうまくできないことについて説明していきます。
AIにできるころ、得意なこと
AIは、明確に決められた課題に沿って作業を行うことが得意です。正解があらかじめ決まっていて、「これが正解」と分かっていることを行うのが得意なのです。正解の基準は設計者である人間が先に決めてあげる必要があります。自分で正解を決めることはできません。
しかし、正解が分かっていることに対しては、人間など及びもしないスピードで膨大なデータを処理したり、分析した結果を導き出したりできるのです。それはAIの方が圧倒的に合っているか、間違っているかを判断するスピードが早いからです。
Aならば正解、Bならば不正解という問題が3万件あり、AIと人間がスピードを競ったら、人間は敵いません。
AIにできないこと、苦手なこと
選択肢が多い問題が苦手です。また、答えが多岐にわたるものも時間が掛かってしまいます。 直感もありません。臨機応変な対応のように、答えが複雑で多岐にわたる問題も苦手です。 曖昧な行間を読むような作業や空気を読むことができません。なぜなら、AIは選択肢が多い場合、すべての可能性を考えるからです。
例えば、画像認識を行う課題「猫を探す」を与えられたとします。AIは最初にこの問題を与えられた時、画像の真ん中に猫が1匹いるだけだとしても、画像の全て、背景のすみからすみまで全部を調べます。そのため大変時間がかかります。しかし、人間なら、真ん中の猫だけを何もしなくても見つけることができます。
AIは学習する
AIは誕生した頃に比べて格段の進化をしてきました。それはコンピューター自体が大変高機能になったということもあります。コンピューターの進化と共に進化してきたのが、学習方法の進化です。
AIは、学習します。それを機械学習と言います。AIの学習の仕方にはいくつかの方法があります。AIの学習について、ここでは説明していきます。
教師あり学習
人間が教師役として、あらかじめ問題(データ)とその答え(分け方)を学習させ、ある問題が与えられた時に正しく答えられる(分けられる)ようにするのが教師あり学習です。 人間が、AIに教えることが必要となるため、労力が必要です。
教師なし学習
「教師なし学習」は、AIに問題(データ)のみを与え、その答えは与えずに学習させる方法です。先生がいなくてもAIが自分で考えます。
教師なし学習は、データを与えられた時にそのデータに潜む傾向や構造を抽出するために用いられます。普通では発見できないような相関を見つけ出すことができるのが特徴です。
強化学習
強化学習は、「ある環境内」で、「目的(ご褒美)」を最大にするための行動を学習します。AIにご褒美を与えて、学習をさせるのです。AIはどうやったら最大の報酬が与えられるかを考えて実行します。AI自身が試行錯誤しながら答えを見つけ出します。
ディープラーニング
ディープラーニングは、AIが自分自身で、データの中に存在しているパターンやルールを発見して、特徴量(何がその答えの特徴か)を設定、それに合わせてたくさんの情報を収集して学習することも機械が行います。人間が判断する必要がないのが画期的です。
「深層学習の父」と呼ばれるジェフリー・ヒントン教授らが2012年、イメージネット(ImageNet)・チャレンジ」というコンテストで優勝した時に使われたのが、深層学習(deep learning)でした。
特徴量とは何か
特徴量とは答えが持っている特徴のことです。答えが「猫」ならば、その特徴「尻尾がある」「耳が三角」「猫目」など、「猫」が答えになる特徴のことなのです。
深層強化学習
深層強化学習とは、強化学習とディープラーニングを組み合わせた機械学習の手法の一つです。現在、強化学習とディープラーニングを組み合わせた、この深層強化学習(DQN: Deep Q Network)が主流になっています。
「大人のAI」「子どものAI」とは
「大人のAI」「子どものAI」とは、AI研究の第一人者である東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻教授の松尾豊氏が指し示すAIの区別の仕方です。ここでは、この「大人のAI」「子どものAI」について説明します。
大人のAI
大人のAIとは、今までデータが取れなかった領域で取れるデータを使い、以前からある人工知能の技術を使うことです。AI技術をデータ活用に使うこと、とも言えるでしょう。大人のようにでき上がっているデータなどを、AI技術に生かして有効に使うことはすでにたくさんの大企業が手掛けているため、日本が追随するのは難しいと、松尾教授は言います。
子どものAI
一方、子供のAIとは、子供のように何も知らない状態からAI自身が試行錯誤を繰り返しながら、自分の性能を向上させていくAI技術です。AIの概念が生まれてから、長い間このような技術の実現は厳しいのではないかと言われてきました。
しかし、ディープラーニング(深層学習)という、特徴量を自動で抽出できる技術の開発が突破口となり、急激に実現できるようになってきました。子供のAIは、すなわちディープラーニングだと、松尾教授は言っています。
子どものAIが日本を救う
子どものAIは、ビッグデータがなくても自分で試行錯誤をしながら成長していく技術です。
ディープラーニングと日本のものづくりを組み合わせれば、今日本が抱える問題を解決できる可能性があるのです。ディープラーニングはすでに無料で流通しているものなので、その技術をどう収益に結び付け、日本の発展につなげていくかが今後の課題となるでしょう。
日本のかなり多くの人手不足の業界にとってAIが救世主となる可能性が大いにあります。ディープラーニングができるAIロボットは、データを自ら収集し、適切な動作を行い、目標を達成します。
しかも、疲れることを知りません。愚痴もこぼしません。また、危険な場所もAIロボットなら立ち入ることも可能ですので、災害に遭った時にも大活躍するでしょう。虫に刺されることもないので、夏期、生い茂る雑草の除草なども楽々こなせるかもしれません。また、物流業界でも集荷や、荷物の分別、棚卸しなど、重労働とされる作業も簡単にこなせるでしょう。
このように、AIロボットが人間の代わりになって働き、人手不足の解消に役立つと考えられます。AIロボットのサポートで日本全体の輸出が増え、収益が上がれば日本全体が豊かになっていくでしょう。
さらに未来に
AIは、誕生当初、無理だと言われていたことに対して、第3次AIブームが起きている今、どんどん実現化しています。それは、AIつまりコンピューターの性能が格段に上がったことに加え、今までにないAI自体が、まるで子供のようにさまざまな試行錯誤を重ねて、上達し、学ぶことができるようになったからなのです。
人間の脳はまだまだ未知の部分が多く、人間の脳における思考の仕方が解明できなくては、SFに登場するようなAIロボットの実現は難しいと思われてきました。
しかし、ディープラーニングという新しい機械学習の発見が、大きくAIの世界を変えました。これが第3次AIブームの大きな火付け役となったと言っても過言ではありません。
この第3次AIブームを、ただのブームで終わらせず、日本の未来のためにさらなる技術の発展につなげていくことが期待されています。
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