AIの進化でなくなってしまう仕事とは

最終更新日:2021年02月06日

AIが本当に人間の仕事を奪うのか

AI技術(特化型人工知能)の発達で、今まで時間が掛かっていた知的作業が軽減できることが知られてきました。今まで、人力で行われていたことがどんどんロボットやAIに変わってきていることは確かでしょう。そのため、「人の仕事をAIが奪っていくのでは」と危惧している人もいるようです。 2015年12月に株式会社野村総合研究所が発表したNews Releaseによると、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が、技術的には人工知能やロボット等により代替できるようになる可能性が高いと推計されたと書かれています。これは本当に将来49%の人が失業してしまうということなのでしょうか。

ここでは、AIやロボットで代替可能といわれる職業(労働政策研究・研修機構が2012年に公表した「職務構造に関する研究」で分類している、日本国内の601の職業)から、100種のうち、AIやロボットに代替可能と言われている職種を大まかにまとめ、なぜそれらが選ばれたのか、考察します。

※News Release 2015年12月2日株式会社野村総合研究所

AIやロボットで代替可能と言われる職種とは

幾つかのカテゴリに分けると、事務員系、工員、受付業務、管理人、オペレータなどを代替可能な職種としているようです。

この発表は2015年のものなので、すでに自動化されていると言えるような部分があるかもしれません。受付業務はタッチパネルなどで自動化されているところも増えているかと思います。

AIが進化しても、仕事がなくならない職種とは

音楽や芸術などのアーティスト、インストラクター、セラピスト、医療関係者、教育者、経営者、デザイナー、美容系の仕事、農家など。

芸術性が求められること、人の心に関わることなどが今後も残ると言われているようです。しかし、今や、AIが絵を描いたり、簡単なBGMを作曲したり、芸術性を発揮するAIも登場しています。ですので、必ずしもこの職種が代替可能ではないと言い切れないかもしれません。

先ほどのAIで代替可能と言われる職種でも、顧客の心をつかむ話術を持って、ロイヤリティを高める細やかな接客ができる人や、人にしかできない高い技術を要求される工員系の仕事も決してなくなることはないでしょう。

AI技術の発展と共に、期待されるAIエンジニアとは

今まで紹介してきたこと以外にもAI技術が発達したからこそ登場してきた職種や、今後脚光を浴びる可能性がある職種もあります。ここでは、今後注目される可能性の高いAIエンジニアについて説明します。

機械学習エンジニア

AI技術の中でも、機械学習に関わるエンジニアです。機械学習の実装や、開発を行います。機械学習エンジニアになるには、プログラミングのスキル、機械学習やディープラーニングの知識、アルゴリズムの知識、ライブラリや開発環境などを使って機械学習を扱えるスキルなどが必要です。

データアナリスト

データアナリストは、データを分析する専門家です。データサイエンティストより、データ分析を専門に行います。AI技術を使い、データを解析・分析して特定のパターンなどを見つけ出します。基礎数学の知識、プログラミングスキル、機械学習用フレームワークの知識、データ分析基盤の構築スキルに加えて、記述統計学の知識があると良いとされています。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、AI開発において重要な役割を果たすと言われています。この分野の人材は日本では大変不足しており、需要も高まっているため今後も注目される職業です。蓄積された膨大な量のデータであるビッグデータを分析して、ビジネスの課題を解決する仕事といえます。

データサイエンティストは、プログラミングなどのITスキルはもちろん、統計学の知識や分析力、提案スキル、プレゼンスキルなど、総合的な企画力など、マルチなスキルが求められます。ビジネスの課題を解決する、コンサルティング能力も必要です。

データアナリストと同様、基礎数学の知識、プログラミングスキル、機械学習用フレームワークの知識、データ分析基盤の構築スキルが必要とされ、それに加えて、推測統計学の知識があると良いとされています。

AIによって新しく生まれる仕事

アメリカのITサービス会社・コグニザントが出版した「What to do when machines do everything」では、AIが普及することで、新たな職業が誕生すると言っています。そのいくつかについて、簡単に説明していきます。

データ調査官

データ探偵は、データ調査の専門家として、IoT機器やニューラルネットワークなどから収集したデータを調査・分類する仕事です。またはそのデータをAIが分析した結果を基に、企業や組織に対してコンサルティングを行う職業としています。

遺伝子のポートフォリオ・ディレクター

AI技術を活用し、開発された新薬を一般の消費者に売り込むための戦略立案を行う仕事です。

倫理的な調達責任者(ESO)

倫理的な調達責任者(Ethical Sourcing Officer)は、企業の判断の倫理的な側面をサポートする仕事です。企業が利益ではなく倫理に照らして判断したいという時に、倫理的な調達責任者が論理性の観点から問題がないかどうかを確認します。

最高信頼責任者(CTO)

仮想通貨の秘密取引など目に見えないものに対して不正な取引がないことを証明し、責任を負うのが最高信頼責任者(Chief Trust Officer)の仕事です。最高信頼責任者は、投資家に対して、出資する企業ができる限り誠実に経営していることを証明する必要があります。顧客に情報や状況を的確に伝える高いコミュニケーション能力が求められる仕事です。

サイバーシティーアナリスト

未来の都市は、無数のセンサーによって収集された膨大な量のデータを使って、スムーズに電力供給やごみ収集などのインフラサービスが提供されると予測されます。サイバー都市アナリストとは、都市が収集したデータのセキュリティを管理し、設置されたセンサーが故障した際に修理を行う仕事です。

人間と機械のチーム構築マネジャー

未来の仕事は、人間と機械がいかにうまく協力し合えるかにかかっていると言われています。チーム構築マネジャーとは、機械と人間を組み合わせて強みを生かし、生産性を最大化する仕事です。

フィットネス・コミットメント・カウンセラー

フィットネス・コミットメント・カウンセラーは、AI機器などで記録、収集、分析した個人の活動記録データを基に、人間の健康に対するモチベーションを管理し、健康を維持するためのカウンセリングを行う仕事です。

AI支援医療技師

AI支援医療技師とは、病院が少ない土地などで遠隔操作を使って医師が検査や診断などを行うことができるようにする技術者のことです。AI支援付きヘルスケア技師が自宅を訪れるなどして、AIが搭載されたソフトウエアを使って診断を下せるよう支援することもこの技術者の仕事の一つです。AIの技術を使うことによって全ての人がオンデマンドで医療を受けられる世界になり、患者は病院に出向く必要がなくなります。

量子機械学習アナリスト

量子機械学習アナリストは、量子情報処理とAIの機械学習を組み合わせて現実のビジネス上の課題を解決するための支援を行う新しいタイプのアナリストです。

エッジコンピューティングの専門家

エッジコンピューティングとは、コンピューターネットワーク上で、利用者に近い場所により多くのサーバーを配置することによって、通信の負荷分散と遅延防止、トラブルの早期発見を図ることです。

現在のインターネット基盤を徹底的に見直して、エッジコンピューティングを活用した分散型へと転換させるのがエッジコンピューティングの専門家の仕事です。

まとめ

今後、AI技術がますます発達していくことが予想されます。しかし、それによって、今まで人の手で行なってきた仕事がAIに奪われ、町に失業者があふれるかというと、そうではありません。人がAIと関わることで、今までとは違う職業が生まれ、新しい文化が育まれていくのではないでしょうか。

※参考文献『What to do when machines do everything』コグニザント(Cognizant)