テレワーク導入の課題と解決策とは
最終更新日:2020年12月22日
テレワークが注目されていますが、実際にどのくらいの企業がテレワークを導入しているのでしょうか。総務省が2019年9月に行った調査によると、テレワークを「導入している」または「具体的な導入予定がある」と回答した企業は約3割です。2020年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言でテレワークを導入する企業は増加しましたが、緊急事態宣言解除後、通常勤務に戻す企業もありました。
ここでは、テレワーク導入の課題と解決策について説明します。
テレワークの導入状況
新型コロナウイルス感染拡大前2019年9月末の調査による導入形態や産業別導入状況、導入目的は以下になります。
参考:総務省:通信利用動向調査(企業編)令和元年報告書 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201900_002.pdfテレワークの導入形態
テレワークを行う形態として、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイルワークの3つがあります。テレワークは、モバイルワークでの勤務形態が約63%と一番多く、次に在宅勤務の50%となります。
- ・モバイルワーク 63.2%
- ・在宅勤務 50.4%
- ・サテライトオフィス勤務 16.4%
調査結果によると、モバイルワークは平成30年の63.5%とほぼ変わらず、すでに定着した働き方と推測できます。
在宅勤務は2018年の37.6%に比べて導入割合が伸びています。2020年はコロナ禍の影響により、さらに導入割合が伸びることが予想されます。
サテライトオフィス勤務は20%以下とテレワーク導入が進んでいません。国がテレワークを推進するために、サテライトオフィス情報の紹介やお試しサテライトオフィスのプロジェクトも行っています。
産業別テレワークの導入状況
産業別テレワークの導入状況として、情報通信業と金融・保険業の導入が多いことが分かります。
- ・情報通信業 46.5%
- ・金融・保険業 40.7%
- ・不動産業 25.4%
テレワークに向いている業種・職種として、ネット環境とPCがあれば作業ができるもの、特にデザイン制作やプログラミングなど、PC作業がメインとなる業種・職種があげられます。情報通信業はICTツールでコミュニケーションを取りながら作業をしているため、テレワーク勤務に対応しやすいといえます。
テレワークの導入目的
テレワーク導入企業の導入目的として「業務の効率性(生産性)の向上」「勤務者のワークライフバランスの向上」「勤務者の移動時間の短縮」があげられます。
- ・業務の効率性(生産性)の向上 68.3%
- ・勤務者のワークライフバランスの向上 46.9%
- ・勤務者の移動時間の短縮・混雑回避 46.8%
- ・障害者、高齢者、介護・育児中の社員などへの対応 27.9%
- ・非常時(自身、台風、大雪、新型インフルエンザなど)の事業継続に備えて 26%
- ・人材の雇用確保・流出の防止 18.5%
多くの企業がテレワークで業務効率化や生産性の向上を目指しています。同時に勤務者のワークライフバランスへの配慮も必要です。
テレワークは将来の少子高齢化に対しての新しい働き方となります。テレワークを導入すると、勤務者はどこでも仕事ができるため、人材確保や新規雇用などの面で企業にとって大きなメリットになります。
テレワーク導入の課題と解決策とは
テレワークを導入するためには、PCのハードやソフトの準備だけでなく、社内ルールや就業規則の作成も必要になります。テレワーク導入における課題について説明します。
情報通信環境
テレワークではメールやチャットのコミュニケーションや作成した資料やデータファイルの送受信を行うため、情報通信環境が必要です。在宅勤務の場合、ネット回線速度は、ビデオ会議やデータの送受信に対応可能か確認が必要です。
情報通信環境がない場合のモバイルWi-Fiルーターの貸与や、スマートフォンのテザリングによる接続で発生する通信料の補助なども検討する必要があります。
情報通信環境で使用するPCやスマートフォン、タブレットのハードも必要です。ハードで設定が必要な場合は、システム担当による指導やアドバイスを受けられるように準備しましょう。
情報セキュリティー対策
テレワークはインターネット接続が可能であれば、どこでも就業が可能です。しかし、セキュリティー対策を怠ると、情報漏洩や重要情報の消失など、企業へ大きな損害を発生させてしまう可能性があります。
テレワークで使用するPCのセキュリティーソフトのインストールや、ネット回線のセキュリティーレベルを確認して使用しましょう。
社内システムや重要情報が含まれるデータのやりとりがある場合は、保護されて安全性が高いVPN(仮想専用線)を利用しましょう。
セキュリティー対策は専門の知識が必要です。社内のシステム部門や専門の担当による管理指導が必要になります。
テレワークのセキュリティー対策は重要なものです。テレワークを行う勤務者だけでなく、経営者やシステム担当者の三者でセキュリティガイドラインの認識を深める必要がります。 セキュリティガイドラインは以下の資料を参考ください。
参考:総務省:情報セキュリティガイドラインの研修 https://www.soumu.go.jp/main_content/000545372.pdf紙資料が多い
テレワークが導入できない理由に、社内資料のデジタル化が進んでいないことがあります。紙資料を使う作業は、これからの業務効率化の大きな弊害となります。テレワーク導入前に紙資料の電子化やペーパーレス化を行いましょう。
紙資料はスキャナを使ってPDFに変換し、共有フォルダに保存します。社外からもアクセスできる共有フォルダに格納することで、テレワークで資料を確認することができます。
紙の稟議書や帳票に決済するために押印をする業務プロセスもテレワーク導入の課題です。業務プロセスの見直しから電子決済システムの導入を検討しましょう。
紙資料のやりとりでファックスを利用している企業もあります。ペーパーレス化を推進するために電話回線のFAX機から、インターネットFAXに切り替えましょう。インターネットFAXは電話回線ではなく、インターネット回線を通じてFAXの送受信を行います。
FAXをメールで受信でき、システムに保存されたファイルを確認できるため、社外でもFAXの送受信対応が可能です。また、送信する際にもPCで作成したPDFファイルを印刷せずに送信できるため、業務効率化が可能になります。
コミュニケーション
テレワークの大きな問題として、社員同士のコミュニケーションの減少やミスコミュニケーションのリスクが上げられます。 特にコミュニケーションの低下は、社員のモチベーション低下から生産性も低下させるため、テレワークのコミュニケーション対策は必須となります。
テレワークでコミュニケーション不足を防ぐために、テレワーク実施のルールと併せて、コミュニケーションツールを導入しましょう。ビデオ会議システムやビジネスチャットを活用して、テレワークでも円滑なコミュニケーションを行いましょう。
社内制度づくり
テレワークを行うための社内制度づくりが必要です。また、テレワークでの勤務者の労働条件や服務規律を決めた就業規則の作成や、適正な人事評価をするためのルール・方法の確立も必要です。
参考:厚生労働省:テレワークモデル就業規則~作成の手引き~ https://www.tw-sodan.jp/dl_pdf/16.pdfテレワークを上手く導入するためには
テレワーク導入にはセキュリティー対策やコミュニケーションの問題など、多くの課題があります。これらの課題を解決するために、社内体制の確立とICTツールの活用があげられます。
テレワークで業務効率化や生産性向上をはかるためにもコミュニケーションツールや勤怠管理システムの導入、セキュリティー対策について専門家へ相談することをおすすめします。
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