テレワーク導入の準備と手順とは
最終更新日:2020年12月21日
テレワークは、ICTを活用して在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイルワークなど、場所にとらわれない働き方となっています。テレワークは、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現、人材確保、業務プロセスの改善、事業継続の計画に効果があるとして、経営課題の解決策として注目されています。
これからテレワークの導入を検討している企業や担当者へテレワーク導入の準備と手順について説明します。
参考:総務省 手情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書 https://www.soumu.go.jp/main_content/000668432.pdfテレワーク導入には準備が必要
テレワーク導入が業務改善や生産性の向上につながるものとして、テレワークを実施した企業も数多くあります。しかし、テレワークによる業務が上手くいかず、テレワークを廃止する企業も多いため、日本のテレワーク導入率は3割程度と浸透していないのが現実です。
令和元年度テレワーク人口実態調査によると、テレワーク(在宅勤務に限る)を実施してみて発生した問題に、以下の項目があがっています。
- ・会社でないと閲覧・参照できない資料やデータなどがあった
- ・営業・取引先等との連絡・意思疎通に苦労した
- ・テレワーク制度が明確ではないため、やりづらかった
- ・同僚や上司などとの連絡・意思疎通に苦労した
- ・自宅に仕事が専念できる物理環境がない
- ・仕事に専念できる状況にない(家事・育児優先)
- ・セキュリティ対策に不安があった
テレワーク実施前の準備不足がテレワーク導入の課題となります。
引用:総務省 テレワーク(在宅勤務に限る)を実施してみて問題があったこと https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd123210.htmlテレワーク導入の準備として、コミュニケーションの取り方、勤務状況の把握、労務管理と評価の仕方、PC、携帯電話、タブレット端末、データ通信カードなど、機器の準備が必要です。また、重要なものとして、ネットワーク環境の構築とセキュリティ対策があります。
テレワーク導入手順参考例
導入に向けた推進体制の構築
テレワーク導入に向けて、テレワークの推進体制を構築します。テレワークの導入が円滑に進むよう、経営者自らがテレワーク導入の意思を社内各部署へ示すことが重要です。
テレワーク導入推進は経営企画部門、人事・総務部門、情報システム部門など、テレワーク推進に関わる社内制度や施策を担当する部門が中心となります。導入を検討している対象部門の代表者も加え、横断的なチームとすることが重要です。
導入検討
テレワークの導入を検討するポイントをあげています。
- ・導入目的の明確化
- 目的は、働き方改革、生産性向上、人材の確保・育成、事業継続、コストダウンがあります。テレワーク導入でどの目的を目指すのか、選定しましょう。
- ・対象者の選定
- テレワーク導入は、スモールスタートで始めましょう。まずは試行的に導入する部署と対象者を選定し、効果検証を行いましょう。検証結果に基づき、徐々に対象部門、対象者数を拡大していきます。
- ・対象業務の選定
- テレワークで行うことができる業務とできない業務の仕分けをします。どのような業務がテレワークに向いているか検討し、必要に応じて業務プロセス・フローの見直しやICTの整備を行う必要があります。
対象業務の選定は、ICT活用における電子化の有無、社内システム利用の有無などの確認も必要です。また、担当業務が本人のみで完結できる、チームメンバーとの協働の有無も選定事項になります。
他にもコミュニケーションの頻度や既存の業務プロセスや業務フローで対応可能なものなど、さまざまな視点で選定することが重要です。
以下はテレワークで行う業務例をあげています。
- 1.資料の作成・修正及び管理(企画書、報告書、議事録等)
- 2.上司や同僚、顧客先や取引先等との連絡・調整(電話、メール等)
- 3.社内手続き
- 4.承認等の意思決定
- 5.電話、会議支援システム等を用いた社内会議(進捗会議、意見交換等)
- 6.電話、会議支援システム等を用いた社外関係者(取引先等)との会議
- 7.部下・後輩等への指導(メール、チャット、TV電話)
- 8.インターネット等からの情報収集(情報検索、調査等)
- 9.業務知識等の学習(e-learning、資料閲読等)
・実施頻度
テレワークの実施頻度は、導入段階や導入目的に合わせて設定しましょう。テレワーク導入時期は、週1,2日の実施頻度から始めましょう。週1,2日程度であれば、社内の制度やルールを大幅に変更する必要がありません。
テレワークの社内体制や業務フローが決定してから実施頻度を上げ、生産性の向上、業務改善につなげましょう。
現状把握
テレワークの試行や実施で、以下の項目に関する現状把握とテレワーク実現に向けた課題の洗い出しをします。
- ・始業・終業、給与や手当など就業規則を確認し、変更点する場合は規程の修正等を行う。
- ・テレワーク実施者の労働時間制度の確認。
- ・人事評価制度の確認とテレワーク時の勤怠管理・業務管理の方法の確認。
- ・テレワーク実施に関する申請・承認方法の確認。
- ・テレワーク実施に関する情報・ファイルの取り扱い、資料、紙・データの持ち出しの可否などセキュリティルールを確認。
- ・ICT環境の確認。
導入計画の策定・実施環境の整備
テレワーク導入計画の策定を行います。以下の項目について、実施スケジュールを立てます。計画に従って、テレワーク実施のルールやICT環境の整備を行います。
- 1.プロジェクト計画書作成
- 2.制度・ルールの確認
- 3.テレワーク環境構築
- 4.テレワーク実施者及びその上司・同僚への研修・セミナーの開催
- 5.テレワーク検証
- 6.実証事業終了後の継続計画の策定・報告
研修等説明会の開催
テレワーク実施前には必ず研修や説明会を行いましょう。研修内容には以下のものが必要です。
- ①テレワークの目的・必要性について
- ②テレワーク時の体制について
- ③テレワーク時の使用するツールの操作
- ④セキュリティ対策の研修、スキルアップ
テレワークを実施するにあたり、目的や必要性の理解を得られなければ、生産性の向上や業務改善などの目標達成につながりません。テレワーク導入を一時的なものではなく、長期的に運用していくために、社内全体で目的や必要性の認識を深める必要があります。
また、テレワーク実施者でもPCのスキルにばらつきがあります。テレワーク実施前に一定水準までスキルアップするように研修を行いましょう。
テレワークには、情報漏洩のリスクがあるため、PCや情報セキュリティに対しての知識やスキルが必要になります。セキュリティ対策についての研修は必ず行いましょう。
テレワークの試行実施
まずはテレワークの試行期間は設けて実施しましょう。初めは3か月~6か月を設定し、検証を行います。テレワーク導入開始時はトラブルの発生が必ずあります。トラブルがあるから、テレワーク実施をやめるのではなく、問題点や課題の洗い出しをして、対策を考えることが必要です。
テレワーク導入には事前準備と意識改革が必要
テレワークを導入してもすぐに生産性の向上や業務改善の結果が出ることはありません。テレワーク導入は事前準備に時間をかけ、試行実施や検証まで行いましょう。これまでの業務プロセスを大きく改善するには、対応方法の試行錯誤が必須になります。社内全体で取り組んで、生産性の向上につなげましょう。
◆企業一覧
◆ソリューション一覧
◆無料で学べるITセミナー動画
Industlinkの姉妹サイトIndustlink Collegeで先端IT利活用促進事業で開催したセミナー動画が無料で観れます!この機会に、Industlink Collegeへ登録しませんか?
※会員登録、視聴はすべて無料です。
Industlink Collegeはこちら
「数あるソリューションのなかでどれが自社に最適か?選びきれない」などとお悩みの方へ。
沖縄県から委託をうけた事務局が中立的な立場でご相談に対応いたします。お気軽にご相談ください。