スマートシティの意味と必要性について

最終更新日:2021年01月01日

スマートシティとは先端ITのビッグデータ、IoT、AIなどのテクノロジーを活用した未来都市です。スマートシティの実現に向けて、関連のビジネスは成長が期待され、新たなビジネスやサービスが生まれると予想されます。国内外で注目されるスマートシティの意味について説明します。

スマートシティについて

「スマートシティ(Smart City)」とは、英語の「Smart(最新の、効率の良い)」と「City(都市)」を合わせた言葉です。ICT(情報通信技術)を活用しながら、エネルギーや資源などを効率よく使うことで、少子高齢化や財政難などの現代社会が抱える問題解決や社会全体の効率化を図る環境配慮型都市を指します。

スマートシティの定義

スマートシティの定義は、国土交通省が2019年に取りまとめた報告書で、「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義されています。

引用:国土交通省:スマートシティの実現に向けて 中間とりまとめ https://www.mlit.go.jp/common/001249774.pdf

また、野村総合研究所では、スマートシティの定義を「都市内に張り巡らせたセンサーを通じて、環境データ、設備稼働データ・消費者属性・行動データなどのさまざまなデータを収集・統合してAIで分析し、さらに必要な場合にはアクチュエータなどを通じて、設備・機器などを遠隔制御することで、都市インフラ・施設・運営業務の最適化、企業や生活者の利便性・快適性向上を目指すもの」と表現しています。

参考文献:スマートシティ報告書「事業機会としての海外スマートシティ」 https://www.nri.com/jp/service/solution/mcs/theme_smartcity

このように、新しい概念であるスマートシティの定義は様々な機関で定義されており、まだ定まり切ってはいないものの、各種データやICT技術を用いた「持続可能なこれからの都市のあり方」という意味を共通して含んでいる取り組みと言えるでしょう。

なぜスマートシティが注目されるのか

スマートシティが注目される理由のひとつに、急速な都市への人口集中が挙げられます。高齢化の進展や地方の就業機会の減少などの理由で、地方から都市に移動する人々が増加しています。

都市に人口が集中することで、様々な都市機能に負担が増大します。そのため、都市部の効率的なエネルギー使用の改善は急務となります。都市部への人口集中は交通渋滞や犯罪の増加、大気汚染や環境悪化の原因となる可能性もあります。

またスマートシティ化は、グローバルな都市の競争力という観点からも非常に重要となってきます。日本はこれから労働力が不足する見通しがあり、これまでの経済成長に陰りが予想されます。労働力を確保するためにも、都市における居住性がより重要な意味を持ちます。

急速な都市化に伴う環境への高い負荷、経済成長の鈍化は、今後の社会、環境と経済の行く末を決定付けると考えられます。この課題解決のためにIoTやセンサー、ビッグデータを始めとした技術を活用した「現在から将来にかけての都市部におけるさまざまな課題を解決する取り組み」として、スマートシティが注目されています。

スマートシティで生活がどう変わるのか

国土交通省が2019年に取りまとめた報告書「スマートシティの実現に向けて 中間とりまとめ」によると、スマートシティが実現した社会では「生活者は物理的な距離や時間的な制約から解放され、有意義な時間を最適かつ自由に使うことができる」と記述しています。スマートシティが実現することで、生活がどう変わるのか紹介します。

どこでも働くことができる

テレビ会議の活用でテレワークや在宅勤務を可能にし、どこでも仕事のできる環境になります。

買い物が楽になる

Eコマースの発達で実店舗に来店しなくても自宅や移動中に、スマホから簡単に買物ができます。ユーザーの購買履歴に基づく「おすすめ」機能で、生活者のニーズに合った商品の推薦を行い、生活者が買うべき商品を考える・探す時間が短縮されます。

ドローンによる無人物流システムが進展し、商品の購入から受取までが一貫されます。また、ドローンは地方部での配送サービスや災害時における現場確認・平時における警備・監視など、利便性だけでなく、防災や災害対策が行うことができます。

移動が楽になる

都市交通インフラが実装され、人工知能(AI)が自動運転を行い、搭乗者は道路状況に注意を払わず、車内でくつろぐことができます。

余った時間を自身のスキルアップやボランティア活動に有効活用することで、個人の生活の質(QOL:Quality of Life)を高められると考えられています。結果的に社会貢献や経済の発展につながります。

日本や世界のスマートシティへの取り組み

スマートシティ実現は日本だけでなく世界規模で検討しています。日本では、経済産業省により「次世代エネルギー・社会システム協議会」が設置され、横浜市、北九州市、豊田市、けいはんな学研都市(正式名称:関西文化学術研究都市)の4地区が実証研究のために選ばれました。

また、日本経済団体連合会が「未来都市モデルプロジェクト」で11地域を選定し、福島県檜枝岐村、茨城県日立市、千葉県柏市、神奈川県藤沢市、愛知県豊田市などが民間主導型のプロジェクトを行っています。

具体的な取り組みについて平成29・30年度採択事業を「総務省 スマートシティ推進に向けた総務省の取組」より説明します。

京都府(H30)

  • ・デジタルサイネージを活用して人流情報を把握し、観光戦略に反映するほか、災害時の避難誘導に利用
  • ・人の流れを把握して街灯の明るさを調節するスマートライトによりエネルギー効率化を実現

富山市(H30)

・人口の98%をカバーする無線網を構築、児童の位置情報等を活用し、通学状況を可視化して安全対策に反映するほか、積雪量等の監視による除雪効率化等に活用

益田市(H30)

・センサーによる河川水位の把握による防災対策、鳥獣の動態把握による被害対策

札幌市(H29)

  • ・Wi-Fiやビーコンからの人流情報のほか、民間事業者からの購買情報や交通情報などを活用した観光マーケティング分析
  • ・除雪車等にセンサーを装着し路面凍結状況や積雪量を把握し情報発信

会津若松市(H29)

・AIチャットボットを活用した市民サービス全体にまたがるコンシェルジュサービスを提供し、事務の省力化・効率化を実現

さいたま市(H29)

  • ・健康・モビリティ・購買等のデータ収集・管理活用するプラットフォームを構築し民間にも開放
  • ・健康、見守り、熱中症対策等の総合サービスアプリを通じて市民や観光客に情報発信』
引用:総務省 スマートシティ推進に向けた総務省の取組 https://www.mlit.go.jp/common/001295802.pdf

一方、欧米ではスマートシティへの取り組みに関して、大手不動産開発会社や不動産管理会社が手がける傾向にあります。ベンチャー企業によるスマートシティ・プロジェクトへの参画も多くみられることも特徴です。

国内外でスマートシティ・インフラ市場規模は拡大しています。そのため異業種からの市場参画も増え、競争も激しくなっています。今後もスマートシティ関連のビジネスに注目が集まります。

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