SDGsの意味と目標達成への具体的な取り組み

最終更新日:2020年11月20日

「SDGs」という言葉を聞いたことがありますか。 いま、いろいろなところでこの言葉が使われているので、どこかで耳にしたことがある人もいるかもしれません。

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」を略した言葉です。2015年の国連サミットにおいて、全ての加盟国が全会一致で合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられ、2030 年が達成年限となっています。

17のゴールと169のターゲットから構成されており、世界共通の目標は、「誰一 人取り残さない(leave no one behind)」。SDGsは、持続可能でよりよい社会の実現を目指しています。

持続可能な開発目標SDGsとは

SDGsが目指す17のゴールは、①貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ。②エネルギーや資源の 有効活用、働き方の改善、不平等の解消などすべての国 が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ。③地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダと大きく3つに分かれています。

世界が直面する課題を網羅的に示しています。SDGsはこれら社会、経済、環境の3つの側面から捉えることのできる17のゴールを、統合的に解決しながら持続可能なよりよい未来を築くことを目標としています。

2001~2015年にSDGsの前身であるMDGs(Millennium Development Goals=ミレニアム開発目標)がありましたが、主として開発途上国向けの目標でした。 それに対しSDGsは、先進国も含め、全ての国が取り組むべき普遍的(ユニバーサル)な目標となっています。

SDGsの大きな特徴は、各国政府だけでなく、企業や地方自治体、アカデミアや市民社会など、「すべてのひと」の行動が求められていること。SDGsの達成するためには、1人ひとりの行動が不可欠になっています。

2030年を年限とするSDGsの17の目標とは

ここからは、SDGsが目指す17の目標を詳しく見ていきましょう。

1 貧困

あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる。

2 飢餓

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する。

3 保健

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。

4 教育

すべての人に包括的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

5 ジェンダー

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う。

6 水・衛生

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。

7 エネルギー

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。

8 経済成長と雇用

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と、働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。

9 インフラ、産業化、イノベーション

強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。

10 不平等

国内及び各国家間の不平等を是正する。

11 持続可能な都市

包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で 持続可能な都市及び人間居住を実現する。

12 持続可能な消費と生産

持続可能な消費生産形態を確保する。

13 気候変動

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。

14 海洋資源

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。

15 陸上資源

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・ 回復及び生物多様性の損失を阻止する。

16 良い統治

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する。

17 グローバル・パートナーシップ

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

SDGsは決して私たちの日常から程遠いものではなく、身近なキーワードが多く挙げられています。SDGsが「すべてのひと」の行動を求めていて、達成するためには「1人ひとりの行動が不可欠」になります。

2019年9月に開催された「SDGサミット」で、グテーレス国連事務総長は、「取組は進展したが、達成状況には偏りや遅れがあり、あるべき姿からはほど遠く、今、取組を拡大・加速しなければならない。2030年までをSDGs達成に 向けた『行動の10年』とする必要がある」とSDGsの進捗に危機感を表明しました。

グローバル化が進んだ現代においては、新型コロナウィルスなど、国境を越えて世界規模で影響を及ぼす課題に、さらに国際社会が団結して取り組む必要があります。ひとりの小さな力も合わさると壮大なものに仕上がります。今一度自分の出来ることを考え、行動していきましょう。

SDGsの目標を達成させるための169のターゲットとは

前述の通りSDGsには17のゴールと169のターゲットから構成されていますが、169のターゲットとは何でしょうか。 国連統計部の情報を総務省が仮訳したデータだけでも33ページある膨大なデータですので、今回は割愛し、1つ目のターゲット(『貧困をなくそう』)をピックアップしてご紹介します。

1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、 全ての年齢の男性、女性、子供の割合を半減させる。

1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、全ての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産 に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジ リエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

17のゴールにおよそ10個のターゲットがあるのですが、全部を詳しく見たい方はこちらからご覧下さい。随時更新も行われていますので、最新情報をチェックください。

参考:総務省仮訳(2019年9月最終更新)https://www.soumu.go.jp/main_content/000562264.pdf

日本のSDGsアクションプラン2021とは

これまで世界共通の目標である17のゴールと169のターゲットをご紹介してきましたが、日本ではどういった活動が行われているでしょうか。

日本では、まず2016年5月に総理を本部長、官房長官及び外務大臣を副本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置しました。 SDGsの17のゴールを日本の文脈に即して再構成した8つの優先課題は、大きく分けると「人間」「繁栄」「地球」「平和」「パートナーシップ」の5つに分かれ、それぞれ、2030アジェンダに掲げられている5つのP(人間〈People〉、地球 〈Planet〉、繁栄〈Prosperity〉、平和〈Peace〉、連帯〈Partnership〉)に対応しています。

2016年に日本政府が策定をはじめたSDGs推進のための中長期戦略「SDGs実施指針」は、政府の具体的な取組を加速させるため、全省庁による具体的な施策を盛り込んだ「SDGsアクションプラン」を毎年策定しています。

「SDGsアクションプラン2021」では、以下の4つが重点事項となっています。

  1. 1.感染症対策と次なる危機への備え
  2. 2.よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
  3. 3.SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出
  4. 4.一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

日本の8つの優先課題に関する具体的な取り組み例としては、「経済財政運営と改革の基本方針2020」「成長戦略フォローアップ」という2つのポイントが挙げられました。 具体的には、イノベーションや関連投資・事業の強化、国連SDGsサミットで合意された「行動の10年」の実践のため、「TICAD7(第7回アフリカ開発会議)」や「日メコンSDGsイニシアティブ(日本とメコン各国の間の協力分野の概要を示す)」をモデルに、日本企業による国際機関との連携等を促すことを含め、官民挙げた取組を推進することが盛り込まれています。

「SDGsアクションプラン2021」を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

参考:外務省:日本政府の取組 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/effort/index.html#promotion

ビジネスとイノベーションSDGsと連動する「Society5.0」の推進

SDGsがビジネスに活用されていることを知っていますか。 「SDGsアクションプラン2021」では、重点項目の1つとして「よりよい復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略」が挙げられ、「Society5.0」の実現をめざしてきた従来の取組をさらに進めたいというねらいが述べられています。

「Society5.0」とは狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ「第5の社会」。 革新的な技術を様々な分野に展開して、あらゆる分野で、現在とは全く異なる社会を実現しようとするものです。

基盤となっているのは5Gで、多言語音声翻訳やドローンのほか、介護現場や鳥獣害対策等で見られる「センサー」など、現在、医療や建設、学校現場、テレワークなど多くの場面で使用されています。

日本のどこからでも世界とつながって仕事ができ、また日本のどこでも教育や医療など必要な生活支援サービスを利用できる社会。それが「Society5.0」です。

SDGsが目指す17のゴールには、「Society5.0」の実現が不可欠です。これから企業のビジネスには、「Society5.0」やSDGsへの取り組みを経営戦略に組み込みましょう。

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