RPA導入前に知るべきデメリットとは

最終更新日:2020年11月04日

RPA導入メリットはたいへん大きく、導入する企業にとって生産性の向上は約束されたように思えるかもしれません。しかし、RPAの導入は手段であって目的ではありません。

現場の業務に基づかず、「RPAを導入したい」という経営判断では失敗する可能性があります。どのようなデメリットがあるのかを把握したうえで検討を進めるべきです。

まずはRPAのデメリットについて説明します。

RPA導入のデメリット

RPAツールの選定ミス

ツールの選定を慎重に行わなければ、導入作業が無駄になる可能性があります。事前に専門家に相談することをおすすめします。

RPAツールは無料版もありますが、利用条件に該当しないと使用できず、サポートも不十分になってしまいます。自社の業務内容に見合った内容のツールか、ランニングコストが適正なものであるか、きちんと判断しなければなりません。

ツール選定の際には従業員のスキルも照らし合わせた検討が必要です。ユーザーとなる従業員のIT知識によって使いやすい・使いにくいUI(ユーザーインターフェース)があります。

RPAツールの導入コストは高額なため、すぐに導入決定ではなく、トライアル期間を利用して使用感や操作性を確認してください。

予期せぬシステム障害

サーバーダウンや通信障害などが発生したときRPAは利用できなくなります。復旧に時間がかかり、自動化していた業務を手作業で行わなければならない状況になるかもしれません。作業フローを完全な自動化にしたため、不慣れな手作業に対応ができないという可能性があります。

万が一の事態に備え、システム障害が発生したときの復旧対応策やマニュアル作成、方針はあらかじめ準備してください。

RPAの更新・改善作業の負荷

RPA導入して稼働させれば、作業完了となりません。導入後すぐ微調整が入り、一連の業務に一か所の変更があればRPAを更新して対応する必要があります。 自動化させた複数のアプリケーションがバージョンアップした場合、RPAの更新作業が発生します。RPAは複数のシステムを常に最新の状態へ対応する必要があります。

RPA担当者への負担

RPAのメリットの一つに「操作が簡単で誰でも業務に使用できる」という点があります。IT専門知識を必要としない優れた操作性は、スムーズな業務体系を実現できます。しかし、「運用・管理」を一部の担当者のみに任せると、担当者のみしか分からない状態、いわゆる属人化が発生し、一人の担当者に管理業務の大きな負担がかかる恐れがあります。

RPAを使用するうえでITの知識はいりませんが、保守・メンテナンスは当然専門知識が必要となります。担当者だけが内容を把握したまま運用を続けていくと、次第に複雑化したRPAを担当者以外が修正できなくなるといったデメリットになります。

RPA担当者は保守管理の情報共有、業務マニュアル化などを行い、属人化を防ぐ工夫が必要です。

無計画なRPA化による業務負担増

デジタル化・自動化を進めることで業務の効率アップが期待できますが、導入時には現場の従業員に大なり小なりの負担が生じます。従来の業務フローが変更されるので、新しい作業に慣れるまではどうしても時間が必要です。導入後から扱いに慣れるまで従業員に負担がかかることを想定しておくべきです。

操作をするのは人間なので、現場での使いやすさを念頭に自動化を進めなければ、かえって現場の負担が増し、RPA導入が望むように活用ができないという事態も起こりえます。

導入コストを無駄にしないためにも、現場の意見を主体としてRPAの導入を検討しましょう。

RPAロボットを介した不正アクセスや情報漏洩

社内のシステムを繋ぐRPAツールはログインIDやパスワードも記録しています。ID・パスワードの不正使用や情報漏洩のリスクに注意しなければいけません。万全のセキュリティ対策や、従業員への情報セキュリティ教育を行い、情報を守る体制を構築しておく必要があります。

RPA導入のメリットも大きい

RPAのデメリットについて確認したうえで次にメリットについて説明します。

手作業削減による業務効率化

RPAが得意とするのは定型業務やルーチンワークといった単純で手順がルール化しやすい業務の処理です。

PC上ですべて終了できる業務ならRPAツールによる自動化が可能です。これまで手作業による時間のかかっていた入力や転記などの作業を、ボタンひとつで処理できるようになります。

定型業務に割いていた時間を大幅に削減し、そのぶん人間は「思考力」を必要とする、質にこだわった業務に集中することができ、企業全体の生産性向上が見込まれます。

人為的ミスの削減

人間の手作業では、どうしてもヒューマンエラーは発生してしまいます。人為的ミスをゼロにすることは不可能です。対策としてダブルチェックをしていると時間も人的リソースもかかります。

しかしRPAによる自動化で、事前に業務のプロセスに沿ったプログラミングをしていれば、ロボットによる処理工程において人為的ミスは発生しません。また、RPAによって迅速かつ品質の高い処理が可能になります。

生産性向上

RPAは複数のソフトウェアを経由して大量の業務を処理することが可能です。ロボットなので休日・祝祭日も関係なく24時間いつでも稼働できます。人間に比べ稼働時間が長いことが生産性向上につながります。

また、RPA導入には、業務が関わる作業フローの見直しが必要になります。全体の手順と効率化すべき箇所を検討し、RPAの導入に最適な業務を洗い出します。 自動化を進める過程において、自動化しない業務の作業フローを確認することで改善点に気付くことができます。

RPA導入による作業フローの見直しで、企業全体の生産性向上が期待できます。

コスト削減

RPAツールにより自動化を進めた業務は、365日時間を問わない稼働が可能です。単純労働に割いていた人件費を大幅カットできるうえ、自動化によって人的リソースを最適な業務へと配置できます。

RPA導入の際には業務フローを全体的に見直すことになるので、自動化と同時にペーパーレスを進めれば、資源の節約・経費の削減につながります。

やってはいけないRPA導入とは

RPAのスキルや技術力がない責任者任命

RPAツールの使用にはITの専門知識は必要ありません。しかし管理やメンテナンスには専門知識が必須となります。

小規模の自動化だからとサポートを重視せず運用を進めれば、エラーが起きた場合に業務全体が停止してしまうなど、大きなリスクの要因となります。事前のRPA導入の研修を受講することや専門家に相談しましょう。

RPAが誤処理を続ける

RPAが誤った処理を続けていないか、監視する体制が必要です。 RPAはアプリケーションのアップデートで仕様が変更になっても以前のルールのまま動作を続け、望むものとは違う結果を出し続けたりすることがあります。

また、テスト段階で作成したロボットや、不要のロボットを放置した「野良ロボット」の発生は避けねばなりません。野良ロボットを起因とする情報漏洩のリスクが増加し、システムへの負荷増加は効率化の低減につながります。

ロボットを「誰」が「何の目的」で作成したのか、全体で把握できるよう監視・運用ルールの整備が求められます。

RPA導入前にデメリットへの対策を立てる

RPA導入のデメリットについて説明しましたが、デメリットそれぞれへの対策を立てておけば、業務効率化は可能です。次にデメリットの対策について説明します。

対象業務とプロセスの文書化

RPA導入の検討を始める際に、社内の業務をすべて見直し、業務フローを把握しておけば「どこに自動化の需要があるのか」がおのずと見えてきます。 業務の効率化、費用対効果の見込みを念頭に置きながら検討し、そして現場の意見を汲んで計画を立てていきましょう。

そして、業務の自動化を進めながらその業務フローを文書化しておくことをおすすめします。業務フローを順路立てて可視化しておけば、のちに担当者が変更になった場合や、緊急時に業務フローの確認をしなければならないときに活用できます。 導入された後にも、変更や修正点を逐次更新しておくとよいでしょう。

RPAツール選び

自動化したい業務に最適なツールを選定しましょう。 多くのRPAツールが存在しますが、選定基準としては以下の点が重要です。

  • ・自動化したい業務に対応しているか
  • ・費用対効果が得られるか

どのツールもトライアル版がありますので、使用感などを踏まえて、導入前に十分に検討することができます。

はじめはスモールスタートで

突然に大きな業務を自動化するのではなく、自動化させやすい一部の業務からRPA導入を進め、広げていきます。 従業員が使いこなせそうか、うまく活用できそうか、費用対効果は予測通りか、などといった点を慎重に確認して次の段階へ進めていくのです。

現場と情報システム部門との連携強化

RPA運用の上で、現場と情報システム部門のどちらかに情報の偏りがあってはいけません。スムーズな業務もさることながら、運用・管理体制の整備構築のために、現場と情報システム部門との連携をしっかりと取れるようにしておくことが望ましいです。

日常の管理業務やメンテナンス情報、障害対策などをマニュアル化し、情報共有しあう体制を事前に構築しておく必要があります。

担当者の引継ぎ

現況を判断できるRPA担当者は必須です。セキュリティ対策のために、ロボット使用の権限なども誰が所持しているかを厳しく管理すべきです。

しかし、RPAの管理に関する情報などを属人化すると、担当者引継ぎの際に不明点が生まれてしまう恐れがあります。業務フローやRPA運用に関する情報はマニュアル化し、内容に変更があれば逐次マニュアルを更新できるよう仕組みをあらかじめ決めましょう。

RPAはデメリットの対策を考えて導入すること

RPAは安い買い物ではありません。デメリットとその対策を事前に把握しておかなければ、思うように効果がなかった、予想外の負担があったと後悔してしまう可能性もあります。

しかし、RPA導入による自動化は「業務効率化」「労働環境の改善」「コスト削減」「時間の有効活用」など多くのメリットがあり、企業にとって大変に有益なツールです。 RPAのメリットだけではなくデメリットも把握しておけば、最善の運用が可能となります。

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