ビッグデータの意味と身近な活用例

最終更新日:2020年11月28日

ビッグデータは、近年のテクノロジーを語る上で欠かすことのできないキーワードです。 ビッグデータとは簡単に言えば大量のデータですが、どのような用途で蓄積され、どのような場面で使われるのでしょうか。

これからの社会生活やビジネスシーンで重要な役割を持つビッグデータの意味と活用例について知っていきましょう。

ビッグデータが注目される理由とは

ビッグデータとは、さまざまな統計データや顧客のセグメント情報などの収集されているデータ群のことを指します。ビッグデータを語る場面では、大量なデータにどれだけ豊富な情報量を含んでいるか、どのように活用していくかという質や用途の意味で用いられることのほうが多いでしょう。

ビッグデータが注目されている理由には、Socety5.0やスマートシティ構想など政府が推奨する「世界に先駆けた超スマート社会の実現」に向けた基盤となるテクノロジーになるものと考えられているためです。

現在でもダイレクトメールやECサイトのレコメンド(おすすめ)などで登録情報や閲覧履歴などのセグメントデータが利用されています。単体の組織や企業が個別に収集してきたデータを、これからは分野や企業の垣根を越えて連携し、複数のさまざまなサービスに活用する流れが起きています。

ビッグデータとは毎日生まれる大量のデータ

ビッグデータは、企業や個人が毎日活動するさまざまな場面で発生し、蓄積されていきます。 IoT機器などに組み込まれたセンサー、企業や工場などで使用されている作業データ、モバイルデバイスなどのパーソナルツールや統計データなども含まれます。

近年では、SNSを通じて画像や動画、音声データなど比較的容量の大きいデータが大量に発生しています。正否が不明な情報も多く発生するため、正しく効率のいい分析をスピーディーに実施して最適なシーンで利用していくかが今後の課題でもあります。

ビッグデータがビジネスチャンスを作る

GAFAと呼ばれるGoogle、Amazon、Facebook、Appleなどのグローバル企業などは、すでに利用者の購入情報、購入履歴、SNSでの発信履歴やアクションなどの膨大なデータを日々蓄積しています。

国内でも、多くの企業がデータの蓄積をしていますが、これらを自社での活用だけではなく分野や産業を越えて連携され、ICTやAIの発展とともに生活の場面でさまざまな活用を目指しています。

総務省の新事業創出戦略委員会「ビッグデータの活用に関するアドホックグループとりまとめ」の資料によると、 「ビッグデータの活用に関する市場規模等の計測手法については、国際的に確立されていない状況であるが、諸外国に関する民間調査機関による試算等を前提とした場合の日本における効果として、データの利用事業者及びその支援事業者からなるビッグデータの活用に関する市場においては、今後、少なくとも10兆円規模の付加価値創出及び12~15兆円規模の社会的コスト削減の効果があると考えられる。」

引用:総務省 ビッグデータの活用に関するアドホックグループ とりまとめ https://www.soumu.go.jp/main_content/000160628.pdf

とされるように、ビッグデータを活用していくことで、市場には新しいサービスや産業や革新的なテクノロジーが誕生するなど、10兆円規模の新たなビジネスチャンスが創出されることが期待されています。

ビッグデータが持つ5つの特性

ビッグデータには、多様性(Variety)、高速(Velocity)、大量・膨大(Volume)の頭文字を取った「3つのV」であると語られてきました。最近ではこれにプラスして、信ぴょう性(Veracity)や価値(Value)の5つの性質を持っているものがビッグデータとして扱われます。それぞれの特性をみていきましょう。

多様性(Variety)

ビッグデータが持つデータには、フリーテキストのデータや電子メール、音声、動画、各種ログ、GPS情報、センサーデータ、デザイン、SNS、IoT、ライブカメラなどなどさまざまな種類の非構造データが多く含まれています。これら多様なデータを組み合わせて分析することで、より精度の高いサービス提供が期待されています。

高速(Velocity)

ビッグデータはその名の通り大量のデータですが、これらの利活用時のレスポンスの速さもビッグデータの重要な特性になります。

SNSや動画投稿サイトで扱われるデータや雨雲・降水予報情報、交通系ICカードの乗車履歴などのように、データが生成された瞬間にリアルタイムで収集・蓄積・分析されることが利活用の場に求められてきます。

大量・膨大(Volume)

大容量データが扱えるクラウドサーバーや大容量高速通信の発展によって世界中から多様なデータを数多く収集できるようになりました。今後ビッグデータを活用して精度の高い分析をしていくためには、より細かく多くのセグメント情報が必要になります。そのため、ビッグデータは大量で膨大であるという特性を持っています。

信ぴょう性(Veracity)

ビッグデータは、多様で大量なデータが収集されるため、時にはフェイクや誤解、偏向の強い情報も含まれてきます。データクレンジングを常にして、信ぴょう性の高いデータに常にしておくこともビッグデータの大切な性質となります。

価値(Value)

ビッグデータから分析・活用されたデータは、それをもとに新たな価値を生み出す可能性を持っています。ビッグデータそれ自体は、多様な場面から収集された大量のデータの集合体でしかないため、そこから生み出す価値というのは分析や活用の方法にかかっています。

ビッグデータの身近な活用例

ビッグデータ自体はサーバーに蓄積された大量なデータです。これをICTやAIなどの技術と一緒に利活用していくことで、身近な生活の中で便利に活用されていきます。ビッグデータの利用によって期待される有益な活用例をいくつかみていきましょう。

自動運転

自動運転の場面では、カメラやセンサーから収集されるデータをもとに運転中の状況を判断し、自動車にフィードバックを返して安全な運転を実施していきます。すでに障害物や前方車両を検知して自動ブレーキやオートパイロットなどの機能は実現されています。

すべての自動車がデータでつながるようになれば、相互にセンサーで相手を認識できるため事故は発生しません。渋滞情報や天候によって自動でルートを選択して最短で安全に目的地へ運転してくるようになります。

ヘルスケア

ビッグデータがもたらすヘルスケアの世界では、ひとりひとりが所持しているモバイルデバイスから取得できるパーソナルデータをもとに、ビッグデータからさまざまな症例など参考に予防介護に活用しています。病気の予兆が起こる前に利用者にフィードバックを行い健康が維持できるようにサポートしていきます。高齢になっても健康に活躍できる社会を目指しています。

気象予測

過去の気象データやセンサーデータをもとに、リアルタイムにフィードバックを返し、気象リスクを回避、関連するサービスやノウハウを提供していくことができます。センサーの高度化により、さらにピンポイントに気象情報を提供していくことができます。

他にも、ECサービスにおいては”欲しい時にサイトに訪れる”という能動的な使い方から、IoTとビッグデータを活用して現状のシチュエーションに応じた提案をAIがフィードバックしてくれるなど、よりパーソナライズ化された必要な場面での利用が考えられています。

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータの活用には、多くの分野を横断的につなぐことで、さまざまなシーンでメリットを感じられるようになっていきます。

産業やビジネスのシーンでは、需要の予測や効率化によって計画的に生産量をコントロールしていくことができるようになり、無駄のないクリーンな生産体制の構築が期待できます。また、ひとりひとりの趣向に合わせてカスタマイズされた精度の高いパーソナライズサービスも提供することが可能になります。

ユーザーのサービス利用情報は、瞬時にAIがデータを解析、効果検証を実施してサービス提供者にフィードバックを返すことができるので、不具合などがあった場合でも速やかに改修やバージョンアップを実施することが可能になるなど、ビッグデータの活用によって、多くの良質なスパイラルが生まれることが期待されています。

ビッグデータがもたらすこれからの社会

これからの社会では、さまざまな場面においてパーソナライズされたサービスの提供を目指してますますビッグデータを活用していく社会に発展していきます。

地域経営戦略におけるデータ・ICTの活用やいわゆる「スマートシティ」「スマートタウン」構想が現実のものとなり、SDGsが提唱する誰一人取り残さない社会を実現していきます。

ビッグデータが蓄積する多様なデータが、人々の多様性に対応し、パーソナライズされた利便性を提供し、豊かで満足度の高い社会が構築されていくことでしょう。

同時に課題となるのはパーソナルデータなどの個人情報に対するセキュリティです。 多くのデータが集まり、最適にセグメントされたサービス提供はプライベートな情報や個人情報と紐付けられやすいため、個人情報を守っていくための技術やシステムも同時に研究開発が進められています。



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