ビッグデータを支える技術と活用事例

最終更新日:2020年11月29日

ビッグデータ自体は、大量のデータを意味するものですが、これらの収集・蓄積から分析に至るまで関連する多くの技術に支えられて運用しています。ビッグデータを支えるためのさまざまな技術とビッグデータの活用事例をみていきましょう。

ビッグデータを処理する技術が向上

ビッグデータは大量なデータであるがゆえに、大容量通信やサーバー環境、セキュリティなどさまざまな場面で高度な技術を用いて運用していく必要があります。ビッグデータはどのような技術が支えているのかをみていきましょう。

IoTセンサー技術

データ収集をしていくうえで重要となってくる技術がIoTセンサー技術です。おもにIoTセンサーが用いられる場面は、工場の自動生産ラインや農地作物の生育の計測、医療現場での体調管理などにおいて定量的な情報を常に計測しています。異常値を検知したらアラートを返してくれるなどの利用方法で用いられます。

将来的はセンサーで発覚した問題箇所をAIやロボット技術と組み合わせ、メンテナンスまでをAIが判断して対応できるように開発研究が進められています。

モバイルデバイス

モバイルデバイスの代表格であるスマートフォンは、1人1台以上所持していると言われています。移動時などにも常に持ち歩き、基本的な属性情報はキャリアが保持しているため、GPSの位置情報や行動履歴をもとに、特定エリアの年代別の密集率や施設利用率などの統計データなどを収集する際に利用されています。

将来的には、ビッグデータをもとに個別にセグメントされた情報を配信するような活用方法も検討されています。

SNSデータ

SNSには日常の生活シーンに関する情報を利用者が発信しています。画像や動画、音声データなど非構造化データを高速に処理・収集してトレンド情報の把握などに活用しています。

テキスト情報はもとより、画像データも解析できる技術がすでに使われており、画像に写り込んだロゴや固有の物体などを認識して普及率を調べるなどの技術もすでに活用されています。

クラウド

クラウドとは雲の意味を持つIT用語です。以前は、データを保存するには物理的なパソコン内のハードディスクやサーバーにデータを保存するのが一般的でした。クラウドとは、これら物理的だった保存環境をインターネット上に移行し、インターネットが接続できるデバイスならどこからでも保存したデータにアクセスできるようにするシステムです。

クラウドコンピューティング環境

クラウドコンピューティングは、ネットワーク、ハードウェア、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア、アプリケーションなどをすべてクラウド上で利用できるように提供されているサービスのことです。Microsoft AzureやAWSなどが代表的なサービスです。利用できるサービス形態によってSaaS(Software as a Service)、PaaS (Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)と分類されています。

Hadoop

非構造化データを高速処理することができるオープンソースのプラットフォームです。非構造化データは、画像や音声、ログデータなど単純に構造化することが難しいうえ、大容量なことが多いのですが、Hadoopはこれらのデータを複数のコンピューターに分散処理することで大容量データの高速化を実現しました。

また、ハードウェアの障害が発生してもデータが失われることなく処理を続けられる仕組みがあります。処理に耐えられる仕組みを持っているので、大容量でもデータを損なうこと無く処理を続けることができます。

ビッグデータの活用事例

ビッグデータを活用するためにはさまざまな技術が結集してサービス提供に至るよう日夜研究が続けられています。すでに実現されているものや将来的に提供される予定のビッグデータを活用した事例をみていきましょう。

自動運転

ビッグデータの活用が期待されている代表的なサービスは自動運転です。自動運転を実現するには車に搭載されたIoTセンサーやカメラ、GPSなど、自動車周辺の多くの情報をビッグデータとして収集し、AIが瞬時に状況への対応を計算して車の動力やハンドルにフィードバックを返して運転をしていきます。

すでに高速道路など、比較的障害物が計算しやすい場所や縦列駐車の場面用には自動運転が可能な技術が採用された自動車は販売されています。これらの精度をさらに高めて、出発から目的地までフルオートで運転してくれる機能の開発が待たれています。

ヘルスケア

ヘルスケアの現場で活用されるビッグデータは、高齢者などの日常の健康管理ツールとしての利用が望まれています。

例えば、ビッグデータで蓄積されている同年代の過去の統計データや健康診断データをもとに、モバイルデバイスから収集される個人のデータと比較します。不安要素のある項目をAIが判断して利用者にアナウンスします。日々の体調管理をするなど、少子高齢化の日本では、医療介護の分野でのビッグデータのさらなる活用が期待されています。

スマートファクトリー

AIやIoT、ロボットを使って、製品工場の材料選定から製品の検品、梱包までの生産ラインでの一連の工程をオートメーション化します。すべて、オートメーション化したスマートファクトリーを実現することで、少子高齢化による労働力を補っていくことができます。

生産ラインの要所にはセンサーやカメラによって製造状況が管理され、ビッグデータが収集している生産時のセンサーデータから外れた異常値が出た場合、アラートを出すだけでなく、自己修復できる機能も備えています。

EMS(Energy Management System)

EMSとはエネルギー監理システムのことです。現状であれば電気やガスなどのエネルギーは各家庭やお店に一定の量で提供されています。これらをビッグデータによる利用者の行動把握やセンサーによってリアルタイムに利用状況を把握します。必要な場所に必要な量のエネルギーを提供していくことで効率的なエネルギー運用を実施していくことが検討されています。

デジタルサイネージ

デジタルサイネージとは、電子看板のことです。ビッグデータを活用したデジタルサイネージの運用で検討されている方法は、人感センサーや視線検出カメラなどと組み合わせて、サイネージのどの部分に興味が集中したか、立ち止まってくれたかなどのデータを収集・解析することです。

どのような広告が有効かを検証し、建物内でユーザー行動を把握できるビーコン端末でターゲットユーザーにおすすめ案内を送ります。タッチパネル式のサイネージを操作させてキャンペーン利用につなげるなど、公共の場においてセグメントされた情報を提供していけるようにサービス検討が進められています。

ビッグデータの活用はすでに始まっている

他にも気象予測と農業を組み合わせて、災害予測や農作物の育成管理に活用しています。ショッピングサイトにおいての販売管理や需要予測、生活シーンの中でも製品のおすすめ案内など、すでにビッグデータ活用がされている場面も含め、さまざまな日常の中でビッグデータが活用されていくことでしょう。




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