人工知能AI(略称エーアイ)の意味と歴史について
最終更新日:2021年02月06日
AIとは何か
なんとなくイメージはあるものの、本当はどのようなものか分からない人も多い「AI」。ここではこのAIとは何かをごく簡単に説明していきます。
AIとは、「人工知能」を意味する「Artificial Intelligence」の頭文字から取った略称です。では人工知能とは何でしょうか。厚生労働省が発表した「AIの定義と開発経緯」※によると、AIの定義は、人工知能(AI:artificial intelligence)については、明確な定義は存在しないが、「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」(一般社団法人 人工知能学会設立趣意書からの抜粋)とされている。」とあります。
AIが定義されていないのは、研究する機関や研究者でもさまざまに定義をしているからです。また、AIの技術の進化と共にAIの定義も変わっているため「これがAIである」と、定義がしにくいのです。そのため、研究者の数だけAIの定義があると言っても過言ではありません。
AI(人工知能)の歴史
では、どのようにAIが始まっていったのか、その歴史をたどってみましょう。
### AIの誕生 人工知能の概念自体は、1947年の「Lecture to London Mathematical Society (ロンドン数学学会での講義)」にて、アラン・チューリングによって提唱されました。その当時、名前はまだありませんでした。
その後、1956年夏にアメリカのニューハンプシャー州にあるダートマス大学でジョン・マッカーシー他数人が発起人となって開催した、「ダートマス会議」(正式には“The Dartmouth Summer Research Project on Artificial Intelligence (人工知能に関するダートマスの夏期研究会)という研究発表会で、ジョン・マッカーシーによって、初めて人工知能(AI)という言葉が使われたと言われています。
最初の AIブーム
1度目のAIブームは、ダートマス会議の後から1960年代頃までの間です。 当時、人間の思考過程を記号で表現し、実行しようとする「推論」や解き方のパターンを場合分けしていき、目的となる条件(答え)を探す「探索」と呼ばれる研究が行われました。この技術によって、パズルや簡単なゲームなど、ルールがしっかりしていることに対してAIは高い性能を発揮しました。
しかし、当時の技術では思っていたような複雑な問題を解ける「AI」はできなかったため、次第にブームは収束していきます。
1度目の冬の時代
その後、1974年頃から、1980年代初頭まで、AIの開発研究は1度目の冬の時代を迎えます。
この当時、AIが解くことができたゲームのような実用的でない問題は、「おもちゃの問題(トイ・プロブレム)」と呼ばれました。
2度目のAIブーム
1980年になり2度目のAIブームがやってきます。2度目のブームのきっかけは、「エキスパートシステム」でした。エキスパートシステムとは、AIが専門家のように答えてくれるシステムのことです。しかし、この当時のコンピューターにも、人間の専門家のようにAIが答えるのは無理だと分かり、ブームは下火になっていきました。
2度目の冬の時代
2度目のブームの後、1987年から1993年までの期間、AIの研究にとっての冬の時代が再び訪れます。その原因となったのが、当時のコンピューターでは、膨大な情報を収集・蓄積し、処理する能力がなかったことでした。また、例外処理や矛盾したルールなどに柔軟に対応できず、限られた情報にしか対応できなかったこともブームが終わる一因になりました。
3度目のAIブーム
そして2013年頃からまたAIブームが湧き起こります。これが今に続く第3次AIブームです。 今まで2回のブームは成功しませんでしたが、3度目のブームが起きた理由は何なのでしょうか。
3度目のブームの理由
2度も冬の時代があったにも関わらず、今もAIブームが続いている理由は以下の通りです。
コンピューターの性能が格段に上がった
2度目のAIブームが起きた当時より、格段に処理能力が上がり、計算速度が早くなったため、AI技術の向上を後押ししました。
インターネット環境とスマートフォンの普及
インターネット環境が整い、スマートフォンの普及が進むことで、たくさんの人の情報収集ができ、ビッグデータの取得が簡単になりました。
ディープラーニング(深層学習)
ディープラーニングとは機械学習の一つで、人間が行うように機械が自分で考えて把握してくれる手法のことです。このディープラーニングを取り入れることでAIの技術が飛躍的に進歩しました。
機械学習とディープラーニング(深層学習)
ここで、飛躍的にAI技術が進歩することに寄与した機械学習とディープラーニングについてもう少し詳しく説明していきます。
機械学習とは
機械学習とは、AI(コンピューター)が自ら反復学習し、AI自身がパターンを見つけ出す、「機械が学習する」仕組みのことです。たくさんの情報を与えて、一つのことを機械に覚えさせていきます。
例えば、目の前に「猫」がいても、学習していなければ、AIはその存在を「猫」と認識できません。「猫」という存在をAIに覚えさせようとした場合、たくさんの情報を必要とします。
「しっぼがある」という情報一つ取っても、しっぽがある動物はたくさんいますから、これだけでは目の前にいる動物を「猫」とは判定できません。「猫の耳は三角」「猫は三角耳以外の種類もいる」などのたくさん情報を覚えさせて、初めて目の前にいる動物が「猫」だと認識できるようになるのです。
まるで子供に「猫」を覚えさせる時と似ています。人間の子供も最初は「猫」と「犬」の区別がつかず、「猫」を見ても「ワンワン」と呼んだりします。
AIも学習したから「この特徴のある動物は猫ではないか」と推論ができるようになるのです。「猫」をはっきり認識できるようになったら、何10万枚の画像からでも即座に数枚の「猫」の画像を見つけ出すというような、AIだからできる作業が可能になります。
こうやって、AI自身が見つけ出したパターンに従い、コンピューターにしかできない大量のデータの処理を、AIが自分で行っていくのが機械学習です。
総務省でも人口知能と機械学習の資料を提供していますのでご参照ください。
総務省 ICTスキル総合習得教材 [コース3]データ分析3-5:人工知能と機械学習
ディープラーニング(深層学習)とは
機械学習は、設計者がAIに膨大なデータを与えることが必要でした。それを解決したのがディープラーニングという技術です。ディープラーニングは「end-to-end machine learning(エンドツーエンド)」とも呼ばれています。
ディープラーニングで、AIが自分で特徴を把握し、自分で学ぶことができるようになりました。
「猫」を例にとると、今までは人間が特徴を教えてあげなくてはいけなかったものを、AIに大量の猫の写真を見せたら「判別するにはこのポイントを見ればいいのか」「これが猫だ」というところまで判別できるようになりました。
「猫」とデータを渡せば、あとはAI自身が自分で判別に必要なことを学び、新しい猫の画像を見せた時、「猫」と理解できるようになったのです。この機械学習とディープラーニングのどちらにも関係する、AIが「判別するポイント」を「特徴量」と言います。
2012年、実際に行われた実験でGoogleは、「人が教えることなく、AIが自発的に猫を認識することに成功した」と発表しました。これが「Googleの猫」として大きなニュースになりました。
特徴量とは何か
特徴量とは、AIが判別できるようにする特徴を数値化したもののことで、特徴そのものではありません。データを特徴量に変換することを「特徴抽出」と呼びます。AIは人間のように数値化されていない概念などが理解できません。しかし、数値化されていれば、その後の推論を導き出すことができるのです。
まとめ
AIの概念が誕生してから70年を経ても、定義ができないと言われるのは、進化スピードが早過ぎることも大きく関係しています。そしてまだAIは進化の途上にあります。そのため、AIの定義ができるようになるには時間がかかることと思われます。
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