ドローン操縦を仕事にするための必要な免許や資格とは
最終更新日:2021年02月05日
ドローンの制度整備の始まり
2015年11月5日、当時の安倍晋三首相が、「早ければ3年以内に、ドローンを使った荷物配送を可能とすることを目指し、2016年までに制度整備の対応方針を策定する」※と述べました。ここから、ドローンの制度整備が始まりました。
2021年現在、民間資格は存在しますが、ドローン飛行のための、自動車免許のような国家資格としての操縦免許制度はまだありません。しかし、2022年の免許制度の導入を目指して法整備が進められています。
※政府インターネットテレビ 未来投資に向けた官民対話 平成27年11月5日
ライセンス導入までの経緯
2020年(令和2年)7月17日、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会により、日本の社会的課題の解決に貢献するドローンの実現を目指し、2022年に有人地帯の目視外飛行(レベル4)を実現させるためのロードマップとして、「空の産業革命に向けたロードマップ2020」※1が発表されました。
このロードマップの中で、レベル4について下記のように書かれています。
レベル4のより高いレベルへ ・より人口密度の高い地域 ・より重量のある機体 ・ 多くの機体の同時飛行※1
レベル4(有人地帯の目視外飛行)が実現すると、人口密度の高い地域でも、あらかじめルートを設定しておけば、人が目視で操縦しなくても、ドローンを目的地まで飛ばすことが可能になります。 人がいなくてもドローンが働いてくれれば、労働人口減による労働力不足が補われるのです。
それを受けて、2020年(令和2年)12月10日、国土交通省航空局が「ドローンの飛行の安全性確保のための新たな制度について」※を公開しました。
この「ドローンの飛行の安全性確保のための新たな制度について」※2の中に、2022年に現行では認めていない、有人地帯の目視外飛行(レベル4)を実現させるために、 機体の安全性に関する認証制度(機体認証)と、操縦者の技能に関する証明制度(操縦ライセンス) について盛り込まれているのです。
※1 引用 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会 空の産業革命に向けたロードマップ2020
※2 引用 国土交通省 ドローンの飛行の安全性確保のための新たな制度について
ドローン飛行のライセンス認証
同じく「ドローンの飛行の安全性確保のための新たな制度について」には、操縦ライセンスについて、以下のように記載されています。
• 国が試験(学科及び実地)を実施し、操縦者の技能証明を行う制度を創設
• 一等資格(第三者上空飛行に対応)及び二等資格に区分し、機体の種類(固定翼、回転翼等)や飛行方法(目視外飛行、夜間飛行等)に応じて限定を付す
• 国の指定を受けた民間試験機関による試験事務の実施を可能とする
• 国の登録を受けた民間講習機関が実施する講習を修了した場合は、試験の一部又は全部を免除など※
簡単にまとめるとこのようなことになると考えます。
・自動車の免許制度と同じように、学科と実地試験を実施し、一等、二等に分ける。
・試験は国の指定を受けた民間試験機関が行うが、民間団体での講習を修了していた場合は、試験の一部か全部を免除する。
今、持っている資格や、技術が無駄にならないように配慮されているということでしょうか。
ライセンスが必要になる前に、スクールで学び、知識とスキルをアップしておけば、国のライセンスが免除される場合があります。そのため、ドローン操縦を仕事にしてみたいと考えている人は、スクールに相談して情報収集するのが良いかもしれません。航空局が所用の要件を満たすことを確認した無人航空機の操縦技能講習を行う民間講習団体(43団体)」及び「講習団体を指導し管理する団体(4団体)」※を、発表しています。
※国土交通省 無人航空機の講習団体及び管理団体一覧 航空局ホームページに掲載されている講習団体を管理する団体(43団体)
ドローンの操縦ライセンスと共に必要なドローンの登録制度について
操縦ライセンスと共に必要になるのが、ドローンの登録です。ドローンを登録して所有者を把握することは、自動車を所有するのと同じようなものでしょう。 事故に遭った時や自動運転でトラブルがあって紛失した時、盗難に遭った時などに登録されていれば発見が可能です。また、登録時に安全上問題があるドローンは排除できます。
また、所有者の把握と共に大きく変わったのが、無人航空機の範囲です。今までは200g未満が無人航空機とされない模型航空機と分類されていました。
しかし、2020年6月17日に参院本会議で可決・成立した航空法改正案により、無人航空機の範囲が100g以上と改正されたのです。この改正で、今まで模型航空機として分類されていた100g以上200g未満のドローンも無人航空機と分類され、今まで承認や許可が不要とされ気軽に操縦・飛行ができていた重さのものが、施行後に気軽に操縦・飛行できなくなってしまいますので、注意が必要です。
他にも必要な資格とは
一般的なドローンは無線従事者資格が不要のものがほとんどです。しかし、ドローンレースで使われるドローンは、5.8GHzなどの周波数帯を使用することが多いFPV(First Person View)システムを搭載しており、第四級アマチュア無線技師などの無線従事者資格が必要です。必要な無線従事者資格を持たずに運行した場合、電波法によって、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されますので注意が必要です。
ドローンに関わる仕事とは
ドローン操縦ができるだけではなく、それに加えて特別なスキルや資格があることが強みになって就職に有利になることがあります。また、ドローンが普及するにつれて、ドローンに関わる仕事も増えてきました。ここでは、ドローンに関わる仕事にはどのようなものがあるか説明していきます。
ドローン測量
ドローン操縦を必要としている一番の仕事は測量です。また近年は、ドローンを利活用した測量は「ドローン測量」と呼ばれ、測量の方法として普通に行われるようになりました。
ドローンを使用して測量することで精度が上がり、迅速に行えるようになります。また、人が簡単に踏み入れることができないような場所の測量も可能になるため、ドローンを使って測量できる人材の需要が増えています。
建築士
設計する家の敷地や敷地外を俯瞰し、設計に役立てたり、見えにくい、高い箇所の確認を行ったりするため、建築士がドローンを使うことが増えています。
ドローン空撮カメラマン
ドローンを使用する仕事として一番に思い浮かぶのは空撮カメラマンではないでしょうか。大空をかける鳥のような視点とスピード感で美しい映像を撮影するドローン撮影のカメラマンは、空撮技術だけではなく映像センスも必要とされる仕事です。
プロドローンレーサー
ドローン操縦の中でも注目されているのが、ドローンレースです。ドローンレースはスピードを競うスピードドローンや、障害物ドローンレース、美しさを競うフィギュアドローンなど、スポーツとしてのドローン競技を行います。すでに世界で競技会が行われ、多くのプロが誕生しています。
ドローン整備士
ドローン使用者や会社が増えるということはドローンを整備するドローン整備士も必要になるということです。今後急増するドローン整備を請け負う整備士は、将来有望な仕事です。
ドローンプログラマー
ドローンはプロポというコントローラーで操縦しますが、事前に飛行中の挙動をプログラミングで制御できすることもできます。この自動制御のプログラミングを行うのがドローンプログラマーです。
今後さまざまな産業にドローンが活用された場合、自動制御を行うことが求められており、ドローンプログラマーは大変需要がある仕事だと予測されます。
ドローンに関わる仕事と資格の未来
2022年のドローンの操縦ライセンス導入を受けて、国家資格取得者のニーズが高まることが予想されます。また、レベル4が実現することで、ドローンはさらに身近なものとなり、ドローンに関わる新しい仕事も増えていくでしょう。ドローン操縦やプログラミング、整備などのスキルを身に付けることが将来のキャリアアップにつながっていくかもしれません。
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