航空法によるドローンの規制

最終更新日:2021年02月05日

ドローン飛行に関わる航空法

ドローン飛行はさまざまな法律が関わっていますが、その中でもこの法律なしでは語れない航空法について説明していきます。

航空法とは何か

航空法は航空機の離着陸、航行の安全、航空機の航行に起因する障害の防止等を図ることを目的として1952年(昭和27年)に制定されました。ドローンやラジコンが普及してきたことを受けて2015年(平成27年)に航空法の一部が改正され、無人航空機の飛行に許可が必要な空域や飛行の方法について制定されました。

さらに、2019年(令和元年)航空法改正では装備品の安全規制などについての制度改正が行われ、無人航空機についても新たな飛行ルールが追加されました。今後もドローン普及に伴い、さらに法規制されることが増えていくと予想されます。

※国土交通省 航空法

航空法における無人航空機の種類

1.無人航空機
無人航空機とは「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船で、遠隔操作か、自動操縦により飛行させることができるもの」と定義されています。ドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプターなどが該当します。ただし、機体本体とバッテリーの重量の合計が200g未満のものは、無人航空機ではなく、模型航空機に分離されます。

2.模型航空機
模型航空機とは、ゴム動力模型機、重量の合計が200g未満のマルチコプター・ラジコンなどのことを指します。この場合のマルチコプター・ラジコン機などは、無人航空機の飛行に関するルールは適用されません。「空港周辺や一定の高度以上の飛行について国土交通大臣の許可などを必要とする規定(第99条の2)」のみが適用されます。

飛行禁止区域

ドローンやラジコンなどの無人航空機を飛行させてはいけないのは以下の3つの区域です。

・空港周辺(新千歳空港、成田国際空港、東京国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、関西国際空港、福岡空港、那覇空港)の決められた区域。 その他空港やヘリポートなどの決められた区域。

・150m以上の上空
これは、「地表または水面から150m以上の高さ」です。標高が高い山でも、地表から150mであれば、問題ありません。ただし、もし地表、又は、水面から150m以上の高さの空域を飛行させる場合は、許可申請の前に空域を管轄する管制機関と調整を行う必要があります。

・人口の密集地域
人口集中地区は、5年ごとに実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域の上空を言います。以前のデータが正しいとは限らないため、飛行させたい場所が人口密集地に該当するか否かは、航空局のホームページから最新のデータを確認しましょう。 (2021年2月現在の最新のデータは平成27年国勢調査報告書「我が国の人口集中地区」)

※総務統計局 人口集中地区境界図について

航空法によるドローン飛行の規制とは

航空法におけるドローンの規制は大きく2つに分けられます。 1つは、守るべきこと、やってはいけないこと、もう1つは許可が必要なことです。この2つを詳しく説明していきます。

航空法で守ること(遵守)と、やってはいけないこと(禁止)4項目

下記の4件は必ず守る、あるいは禁止されている項目です。

1.飲酒時、あるいは薬物の影響がある時の操縦の禁止
飲酒時や、薬物の影響がある時は判断力が落ちるため、ドローンを操縦してはいけません。

2.飛行前の確認の遵守
飛行前の点検はもちろんのこと、できれば飛行後の点検も忘れずに行いましょう。 具体的にどのような点検を行うのかの定めはありませんが、自分が使っているドローンのメーカーが定める安全点検の項目などをチェックしましょう。

3.衝突予防の措置の遵守
航空機などや、他の無人航空機などと衝突を回避するため、衝突しそうな場合には、地上に降下等で衝突を回避しましょう。

4.危険な飛行の禁止
他人に迷惑を掛けるような方法で飛行を行わないようにしましょう。

国土交通大臣の承認を受けることができれば例外的に許される6項目

下記6件は大臣の承認がなければやってはいけません。

5.夜間飛行
日の出から日没までの間にドローン飛行を行いましょう。

6.目視外飛行
直接肉眼で目視できる範囲で、安全にドローンを飛行させましょう。

7.人や物との距離が30m未満での飛行
物や人から30m以上の距離を保って安全にドローンを飛行させましょう。

8.多数人が集まる催し場所での飛行
お祭り、縁日、展示会など多くの人が集まる催しが行われている場所の上空では飛行させないようにしましょう。

9.危険物の輸送
ドローンで火薬類、高圧ガス、引火性液体、凶器などの危険物を輸送してはいけません。

10.ドローンからの物件投下
ドローンから物を投下しないようにしましょう。

国土交通省から、分かりやすい改正航空法概要ポスターが発表されていますのでご参照ください。

※国土交通省 改正航空法概要ポスター

無人航空機の飛行ルールに違反した場合

無人航空機を飛行させる際の基本的なルールに違反した場合は、1については、1年以下の懲役または30万円以下の罰金、2〜4については、50万円以下の罰金、5〜10については、国土交通大臣の承認が必要になります。もし承認を受けずに飛行させた場合には50万円以下の罰金が科せられます。

無人航空機の飛行形態のレベルとは

無人航空機(ドローン)には、レベル1からレベル4までの飛行形態があります。

・レベル1 目視内での飛行 空撮や橋梁点検など
・レベル2 目視内での飛行(自動/自律飛行)農薬散布、土木測量など
・レベル3 無人地帯での補助者無し目視外飛行
・レベル4 有人地帯における目視外飛行

なぜ、レベル4の実現を目指すのか

2021年2月現在、現行レベル4である有人地帯における目視外飛行は、現行では認められていません。しかし、ドローンに関する技術の向上、物流等の利活用へのニーズが高まっており、レベル4を認める必要が出てきました。そのため、レベル4の飛行が可能となるように制度整備を行うことになったのです。

無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について説明

2020年(令和2年)12月、国土交通省航空局より「無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について」という資料が発表されました。

・ドローンの機体の認証
国が機体の安全性を認証する。

・操縦ライセンス制度を創設
国が試験(筆記、及び、実地試験)を行う(一等資格及び、二等資格)。

・運行管理のルール
運行管理のルールを法令で明確化、飛行計画の通報、飛行日誌の記録、事故発生時の国への報告を義務化する。

・所有者の把握
登録制度を創設し、機体に登録記号を表示するよう義務化。

上記の施行に合わせて、登録・許可承認の対象となる無人航空機(ドローン)の範囲が、今までは200gだったものが100g以上になりました。

すでに、所有者の登録を義務付ける航空法改正案は2020年6月17日に参院本会議で可決、成立しています。

新たな制度については、詳しくは参考資料「無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について」をご覧ください。

※国土交通省 無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について

航空法によるドローンの未来

ドローンはさまざまな分野で活用されており、年々需要も増しています。安全にドローンを利活用するためにはさらなる法整備が必要になります。今後、法改定が何度も行われた場合、知らずに違反してしまうことがないよう注意が必要です。

2022年からドローンの操縦ライセンス制度が始まりますので、自動車と同じように免許を取るための勉強が必要になります。ドローンを使いこなしたいという人は今から準備することをお勧めします。




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