ドローンを活用したビジネス

最終更新日:2021年02月05日

さまざまなビジネスに活用されるドローン

ドローンは商業・産業においてさまざまな用途で活用されています。さらに、今後もビジネスにドローンが利活用されることが期待されているのはなぜでしょうか。 ここでは、ドローンがどのような場面で活躍するのかについて説明します。

危険を伴う仕事をしてくれる

ドローンがいろいろな分野や用途に活用される一つに、安全であることが挙げられるでしょう。災害地、高所、高温などの危険な場所でドローンを飛ばすことができ、調査や点検などが可能になります。

作業効率が上がる

人間が手作業で行うより作業が迅速にできることもドローンの普及に役立っています。農業関連の場合、就業人口の減少や農業従事者の高齢化で農作業負担が増える中、ドローンによる農薬散布などが大変効果を上げています。

人が入れない場所で飛べる

ドローンで撮影された空高く飛ぶ鳥の姿や、見たことがない角度からの世界遺産の建造物をご覧になった人は多いと思います。また、ドローンといえばスピード感のある空撮のイメージを浮かべる人も多いでしょう。

ドローンは今までは人間が立ち寄ることができなかったところにも飛ぶことができるため、検査しにくかった狭い場所なども調べることができるようになりました。

分野別ドローン活用例

・農業 農薬散布などに1980年代半ばから活用されている。
・建築や土木 地形によらず測量が可能。
・マスコミ・広告 空撮映像になくてはならない存在です。
・各種点検 橋梁や道路の維持、修繕の前の点検に使えるよう自律飛行を開発中。
・防犯 空からの監視で防犯に。
・災害時の救助 人が入れない場所の捜索などや消火活動支援。
・医療 離島や山間部の無医村などへの医療援助。
・運送 迅速に荷物を届けられるよう整備中。
・工業など 自社工場や倉庫の自動点検や棚卸し。

他にも、さまざまなシーンでの利用が検討、開発、実用化されています。

航空法の規制緩和とドローンの発展

小型無人飛行には1〜4までのレベルがあります。レベル1は、目視内(目で見える範囲)での操縦飛行、レベル2は目視内(目で見える範囲)での自動飛行、レベル3は無人地帯での目視外飛行、レベル4は有人地帯での目視外飛行です。

レベル3は2018年に政府が規制を緩和し、離島や山間部など人がいない所であれば、ドローンを目で追える範囲ではない場所の自動飛行が可能になりました。しかし、都市部などの人口が集中している場所での自動飛行ができなれば実現できないものもあり、レベル4を実現するための法整備が望まれていました。

それを受けて、2020(令和2)年12月にレベル4の実現に向け、国土交通省航空局より「無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について」※という資料が公開されました。この資料によると、レベル4が2022年には実現できるように法整備をする施策がなされつつあることが分かります。2022年はレベル4が実現し、さらに、ビジネスでのドローン活用が活気を呈することになるでしょう。

※国土交通省 無人航空機のレベル4の実現のための新たな制度の方向性について

ドローンを活用した新ビジネスとは

経済産業省は2019年、「空の産業革命に向けたロードマップ2019」※を取りまとめ発表しました。この資料によると、2022年レベル4実現以降にドローンを有効活用し、さまざまな分野に役立てることを計画していることが分かります。 ここでは、上記の資料も参照しながら、2022年のレベル4の実現を受けて新たなドローンビジネスにどのようなものが考えられるのか説明していきます。

※経済産業省 空の産業革命に向けたロードマップ2019年

パッセンジャードローン

パッセンジャードローンは、無人飛行で人を運ぶドローンのことです。無人運転の空飛ぶタクシーも遠い未来のものではありません。すでに、2023年にサービス開始を予定している会社もあります。

物流ドローン

産業用ドローンとして実用的な利活用として一番期待が高まっているのが、物流ドローンかもしれません。レベル3の無人地帯での目視外飛行については規制緩和されており、すでに活用もされている分野です。レベル4の規制緩和が行われれば、都市部での荷物配送の効率化ができます。

災害用ドローン

災害が起きた時に人間が立ち入るのが危険な場所でも、無人飛行し、消火ができる耐火性ドローンが災害救助に役立ちます。耐火性があり300度で1分間の連続運用が可能なドローンがすでに発売されています。

土砂災害の際にも災害状況を空中から確認できるドローンの利活用が増えています。 また、道路が遮断された状態でも移動可能なドローンは、災害時の救援物資配送の際の活用も期待されています。

農林水産業分野

・農業 農薬散布だけではなく、受粉や収穫物の運搬、鳥獣害の防止にもドローンの利活用が進められています。
・林業 2022年までに全都道府県において、全森林管理局の森林被害の把握などにドローンの利活用が進められています。
・水産業 カワウによる漁業被害の防止や、クジラ類の目視調査技術開発のための利活用などが進められています。

インフラ・測量など

・インフラ維持管理 レベル4規制緩和により、都市部(有人地帯)のインフラ点検に利活用が進められています。また、砂防施設などの現場への導入も加速して進められています。
・測量 レベル4規制緩和により、都市部(有人地帯)の測量の利活用が進められています。

警備業

広域・有人地帯の広域巡回警備への利活用が進められています。

レベル4実現への課題

レベル4を実現させるために解決する必要がある課題や、解決方法にどのようなものがあるかをここで説明します

技術者不足

年々需要が高まる右肩上がりのドローンを使用する業界では、技術者の不足が課題として挙げられています。2021年の規制緩和と共に、ドローン操縦にはライセンスが必要になるため、ライセンス保持者の確保が各業界での急務となるでしょう。

また、ライセンス取得を目指す人を育てる教育機関も必要になるため、正しい指導ができる教育機関や指導者の育成も必要になってきます。

操縦者のみならず、ソフトウエアの開発者や運用管理者の人材不足も考えられます。ハードウエアのメンテナンスができる技術者も今後さらに需要が増すでしょう。

技術的な課題

技術的な課題として、上空飛行時の事故を防ぐ仕組みが必要になります。例えば1.5kgのドローンが150mの上空から落下した場合、時速194kmで地面にぶつかる衝撃と同等と言われており、もし落下先に人間がいたらどんな大事故になるか、想像に難くありません。

今までもドローンが墜落し、人が負傷したり、世界遺産にぶつかり大切な施設が破損したりという事故は起きています。今後さらにドローンが増えることが予想される昨今、法整備に加えて、事故を防ぐ技術開発が急がれます。

物流ドローンの課題

需要が増加し期待が高まっているのが物流分野で使われるドローンでしょう。空を飛び、自律して荷物を運ぶドローンが実現化すれば、人材不足も軽減されます。しかし物流分野でドローンを導入するためには以下の課題をクリアする必要があります。

・天候に(強風や雨など)に左右されず安定した飛行
一般的なドローンは風雨に弱いため、風雨に強いドローンの開発は必須です。ドローンは重量があれば風には強くなりますが、それでも風による事故は起きています。雨に強いドローンともいえる、防水機能の高いドローンは開発され、発売されています。しかし、電子機器を搭載しているドローンは水に弱いため、風に強い、安全に特化したドローンの開発はさらに必要となるでしょう。

・機体の重さと安全の確保
ドローンは重量があると風に飛ばされにくく安定しますが、万が一落下した場合、大きな事故につながりやすいため、落下時の安全対策も欠かせません。

・長時間の運行と、詰める荷物の重さ 積載可能重量が小さい場合、たくさんの荷物を詰めませんので効率が悪くなります。また、現在のドローンは飛行時間が30分程度と短いものが多く、荷物を運搬するのに適していません。この両方の問題が解決できるバッテリーとエンジンの開発が必要です。

・監視システムやルールの制定
物流ドローンは荷物を運んで受け渡す必要がありますので、飛行に加えて事故や故障、正しく受け渡ししているかを監視するシステムやユーザーとの受け渡し時のトラブルを防ぐルールも確立する必要があります。

まとめ

ドローンを産業に活用するにはクリアしなくてはならない課題もありますが、産業ドローンは今後さらに発展し、ビジネスチャンスも多いにある分野です。政府も推進し後押ししており、さまざまな支援制度がありますので、ドローンの活用を検討してみてはいかがでしょうか。




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