スペシャルインタビュー「MaaS(マース)と沖縄の交通」

最終更新日:2020年01月24日

- ResorTech特集記事 - 
「MaaS(マース)と沖縄の交通」(DiDiモビリティジャパン株式会社)
 
 本記事では、2020年2月に開催されるイベント「リゾテック・オキナワ(https://www.resortech.okinawa/)」のスペシャルセミナーにご登壇いただく企業様のテクノロジーや、沖縄観光とソリューションに関する取材記事となります。
 グローバル企業が考える沖縄について、貴重なお話をいただけましたので、最後までご覧いただけると幸いです。なお、今回の取材内容とイベント当日のセミナー内容は異なります。
 
 イベント会場内では、沖縄の観光業とITソリューションを結びつける「インダストリンクITソリューション商談会」にて様々なITソリューションをご確認いただけるほか、今抱えている問題をITソリューションをもって解決できるかの無料相談窓口もご用意しています。会場までぜひお越しください。

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 スペシャルセミナー2日目(2月6日)の「DiDiモビリティジャパン株式会社」様からは、セミナー講師を努められます、事業開発部 本部長のウェイ 氏からお話を伺うことができました。

写真:Eric Wei 氏
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DiDiモビリティジャパン株式会社 事業開発本部 本部長 Eric Wei(エリック・ウェイ)氏
登壇者プロフィール:
DiDiモビリティジャパンの広告事業、戦略パートナーシップ、事業開発および顧客サービス部門を統括。 アマゾンとグーグルで13年間を経て、ビジネス事業開発、サプライチェーン管理、プロダクト マネージメント、アジア太平洋地域各国での新規事業立ち上げとマーケティングの経験を生かし、日本でのDiDiビジネスの事業展開をゼロから急成長させています。
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ー はじめに、DiDiとはどのようなサービスですか



 DiDiは世界最大級の交通プラットフォームで、スマートフォンアプリを通して「乗りたい人」と「乗せたい人」をマッチングさせるプラットフォームです。グローバルで5億5千万人に使われているノウハウと技術力をベースに日本のマーケットに特化したシステムを自社開発しました。今後、機械学習能力・AIを活かし、乗車の需要予測の精度を上げて、配車のスピードアップと、空車の無駄な時間の短縮をめざしてサービスを更に磨いていくことを目標にしています。
 
ー タクシー以外の交通機関(バスやモノレールなど)との連携、Maas(マース)※のシステムとして今後さらなる広がりをみせるのか



 2019年の11月にはタクシーに加えて、他のハイヤーサービスも気軽に配車依頼できる「DiDiプレミアム」というサービスが開始しました。今後、電車、バス、タクシーも含めMaaSの交通プラットフォームを検討しています。既存のサービスをどう連動させるのかを模索している段階です。
 
※MaaS(マース)とは:”MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイ カー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ 新たな「移動」の概念である。”(国土交通省 国土交通政策研究所報第 69 号 2018 年夏季)
https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf
※2015年のITS世界会議で設立されたMaaS Allianceでは、「MaaSは、いろいろな種類の交通サービスを、 需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合することである」とされている。
 
ー DiDiは沖縄でも利用できるようになっているが、今後はゆいレールや観光地としてのサービスなども考えていますか
 
 現在、ゆいレールのカバー範囲が限られているので、今後、沖縄にさらなるよりカバー範囲の広い交通手段とタクシーを結びつけるようなサービスを検討してまいります。
 現在は具体的にどの観光地や施設と連携を取る形ではないのですが、東京では、たとえばIKEAなど複数のおすすめの乗車ポイントを設けて、より乗りやすく、より見つかりやすいといった取り組みをしています。沖縄でもそのような乗車ポイントを設置していく予定です。

ー DiDiのサービスは沖縄のどこで利用可能ですか

画像:DiDiオキナワ対応エリア(オレンジ色部分)
 現在、沖縄本島で使えるエリアは、那覇市に加え沖縄市、宜野湾市含め11都市に対応しています。その他には宮古島エリア、石垣島エリアもサポートしています。

ー 今回の登壇内容は、沖縄の企業や利用者向けの内容ですか
 そうですね、今回お話させていただきたいのは、DiDiアプリの進化について。沖縄観光地から見た、空港への移動 ✕ ビジネスの可能性についてお話させていただければと考えています。
 
ー DiDiのサービスが広がることによって沖縄の交通にどのような変化がもたらされますか
 DiDiは電車、バス、タクシーをつないで最適な交通手段を提案するMaaSのシステムに取り組んでいます。とくに沖縄ではモノレールやバスがカバーできる範囲が少ないため、タクシーを利用した長距離移動が課題となります。今後に関してですが「相乗り」を国が検討しており、その法改正により、相乗りが可能となれば、道を走っている台数そのものが減っていくことにより渋滞が緩和されるのと、乗客にとっても、長距離にかかる費用が安くなるというメリットが出てきます。
 沖縄は全国で飲酒運転がワーストとなっていますね。例えば沖縄の飲食店とDiDiがキャンペーンを仕掛けていくことによって、「お酒を飲んだらDiDi乗ろう」と、宣伝することにより、飲酒運転や渋滞も減るのではないかと考えます。
 
ー 法律的に課題があるということですがタクシーの「相乗り」は現在禁止されているのですか
 現在は禁止されています。しかし、国は今後、相乗りなど法律の法改正について行う予定と聞いています。もし規制緩和がされることになれば、沖縄の交通事情に大きく貢献するのではないかと感じています。
 沖縄は、タクシーでの移動距離がとても長いです。タクシーの距離単価は日本一安いのですが。実際、那覇市内の移動は安いのですが、那覇市から、例えば恩納村への移動となるとかなりの距離と金額になります。そうなると、観光客が那覇市から恩納村に遊びにいく時にタクシーを使用できない。結局観光客であればトータルで考え安く便利なレンタカーを借りる。ところが、慣れていない道を運転しなければならないし、お酒も飲めない。このような事態になってしまうことは、沖縄の観光にとっても一つの課題であると考えています。
 
タクシーを使った長距離移動は、やはりお金がかかる。相乗りのない時に、どうやって手頃な値段で交通手段を提供できるのか、みなさんで一緒に考えていかなければならないことかなと考えています。

ー 沖縄という土地の優位性やデメリット、可能性などについてお聞かせください



 沖縄の優位性は元々、観光地として世界中で有名なことです。また、移動距離単価。例えばタクシーの1kmあたりの料金が日本の中で一番安いことです。
 一方のデメリットですが、那覇市はある程度便利ではありますが、それ以外のエリアへの移動距離が長いことです。電車がなく、モノレールやバスのカバー範囲もまだ狭いからです。
 可能性としては、電車やバスがカバーできないエリアが多いので、その辺りをDiDiが地元タクシー会社様と提携して、サービスを提供できるようになるポテンシャルはかなり高いなと思います。特に観光地ですので、観光客が空港に着いた時や、市内の移動に関してはスーツケースを持ってのタクシー移動が多いと考えられるので、可能性が高いと感じます。

ー DiDiのソリューションは今後、移動手段以外にどのような発展を遂げていくのでしょうか
 例えば海外で、運転手が乗っているエリアでの急ブレーキの数や運転距離によって、保険会社と連携し、ドライバーの走行習慣によっての金額が決まるようにしている事例があります。そうなると便利になるのではないかと思います。
 
ー 沖縄の飲酒運転発生件数の減少も期待できますか
 そういうことも可能になるかと思います。急ブレーキや飲酒運転等の危険運転をしていないかなど。安全運転を続ければ、例えば保険料が安くなる。安くなるのであればもう少し安全運転をしようかな。と、気をつけるようになる。と、いうところが、我々としては興味のある分野ではあります。事故率が減る、事故予防に繋がる可能性があります。


== 取材を終えて
 DiDiモビリティジャパンのウェイさん、今回、取材のために快く電話インタビューに応じていただき本当にありがとうございました。
MaaSのテクノロジーを使ったサービスと沖縄の課題や今後について貴重なお話をいただくことができました。
 
 2月6日のスペシャルセミナーでは、MaaSのテクノロジーと同社事業展開について、沖縄の経済にどのように貢献できるかを交えながらお話いただきます。
 今後変化していく沖縄の観光と交通サービス、モビリティ・テクノロジーについて、ご興味をもたれましたら、ぜひご来場ください。
 
ResorTech Okinawaの詳細はこちら:https://www.resortech.okinawa/
 
ご来場お待ちしております。

 
 □■ スペシャルセミナー内容 ■□—————————
講演日程:2020年2月6日(11:00 - 12:00)
テーマ:「モビリティテクノロジーとDiDi日本市場での事業戦略 -沖縄経済にどのように貢献ができるか- 」
これから数年度、または非常に近い未来において重要な役割を担い、さらに様々な進化の可能性を持つのはモビリティの領域だと考えています。DiDiの日本での事業状況また沖縄経済にどのように貢献ができるのか、今後の事業戦略をご紹介します。
 
講師:DiDiモビリティジャパン株式会社 事業開発本部 本部長 Eric Wei(エリック・ウェイ)氏

 
企業概要:
 


2018年6月に世界最大級のモビリティプラットフォームのDiDi Chuxing(ディディチューシン)と、AI分野への事業展開を経営戦略として進めるソフトバンクの合弁会社として、DiDiモビリティジャパンが誕生しました。
DiDiはスマートフォン1つで、タクシーの配車から移動、決済までが可能となるMaaS(Mobility as a Service)テクノロジーを用いた革新的なタクシー配車プラットフォームサービスです。
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ー 世界最大級のイベントが沖縄で開催
 2020年10月には世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン2020」沖縄が開催されます。総合観光イベントとして、さまざまな産業が「観光」を軸に集結! 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で世界の注目が日本に集まる中、世界・日本の観光関連産業が沖縄に集まります。
 ツーリズムEXPOジャパンは通常、毎年東京にて開催されていましたが東京オリンピックの関係で2019年は大阪、そして2020年は沖縄で開催されることになりました。そして10月のイベント本番を前に、2020年2月にプレ開催としてResorTech Okinawa - おきなわ国際IT見本市 -(リゾテック・オキナワ)が開催される運びとなりました。




 リゾテック・オキナワは、観光・農業・水産業・小売・飲食・製造・医療など産業全体と、地域に暮らす人々の生活を豊かにするために活用可能な、幅広いテクノロジーのショーケースを目指します。また、本イベントと連動して、IT企業及びスタートアップ企業にイノベーション創造機会と実証フィールドを提供することで、沖縄発のイノベーション・新ビジネスの創出を促進して参ります。
 
 Okinawa Startup Festa(沖縄スタートアップフェスタ)も同時開催。
ResorTech Okinawaと合わせ、新たなビジネスマッチングの機会をご提供いたします。沖縄の観光業に従事、ご興味のある方のご参加お待ちしています。
 
※ツーリズムEXPOジャパン:世界100ヵ国以上の国と地域、日本全国の観光地が集結する、年に一度の世界最大級の旅の祭典。 2020年で7回目を迎えます。
※ResorTech Okinawa おきなわ国際IT見本市は、「リゾート」×「IT」をコンセプトに、観光産業と情報通信関連産業の活力を成長のエンジンとして、全産業の発展と豊かな地域社会の実現を目的として開催します。



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沖縄ビジネス・マッチングサイト 「インダストリンク
 
取材協力:
DiDiモビリティジャパン株式会社
 
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ライター:カシマユウジ
画像提供:DiDiモビリティジャパン株式会社
※この記事の内容は2019年12月23日に行われた取材時の情報です。