テレワークを導入する本当の意味

最終更新日:2020年12月18日

2020年2月に新型コロナウイルスの脅威が広がり、3月には新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づき非常事態宣言が発表されました。外出禁止により、企業や店舗への出勤が制限され、通常業務が難しくなりました。そこで注目されたのがテレワークです。

テレワークとは

ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方 在宅に限らず、スマートフォン、 タブレット、PC等活用し、営業先や出張・外出中でも効率的働き方が可能

引用:総務省:テレワークの最新動向と総務省の政策展開 http://teleworkkakudai.jp/seminar/2020/pdf/iwate/01_soumu201127.pdf

経済産業省は「新しい生活様式」を実践するために、テレワークでの働き方を推進しています。ここでは、テレワークの意味と必要性について説明します。

テレワークの種類について

テレワークには、「在宅勤務」、「サテライトオフィス勤務」、「モバイル勤務」の3種類の働き方があり、自宅で勤務することを在宅勤務としています。そのため、テレワークと在宅勤務に違いはありません。

サテライトオフィス勤務とは、本社や事業所など通常出勤しているオフィスとは別のオフィスで仕事をすることです。企業によって、社員をホテルやレンタルオフィスで業務をさせることで、出社する社員を減らし、新型コロナウイルス感染予防策を行っていました。

モバイル勤務は、カフェや公園だけでなく、バス、タクシー、モノレールなど交通機関の移動中でもネット回線を活用して仕事をすることです。いつでもどこでも仕事ができるのがモバイル勤務の大きなメリットです。

テレワーク導入状況

2020年3月以降、テレワーク実施率は大企業で80%以上、中小企業で50%以上となりました。しかし、緊急事態宣言解除後には半数以上の企業でテレワーク実施を取りやめており、テレワークの定着率の低さが問題視されています。

テレワークを導入しない理由

  • ・テレワークに適した仕事がないから
  • ・業務の進行が難しいから
  • ・顧客等外部対応に支障があるから
  • ・セキュリティーが心配だから
  • ・対応できる人材が不足しているから
  • ・文書の電子化が進んでいないから
引用:総務省委託調査「テレワークセキュリティに関する実態調査結果」(2020年7~8月) https://www.soumu.go.jp/main_content/000711713.pdf

テレワークを導入しない一番多い理由が「テレワークに適した仕事がないから」でした。 医療系や建築・工事系の仕事はテレワークができません。営業業務や接客業、小売業など対人対応が必須の業務はテレワークに不向きとされています。

他にもテレワークが困難な業種として以下があります。

  • ・製造業
  • ・運送業
  • ・旅行業
  • ・福祉業

テレワークが出来ない業務がある

業務の中に稟議書、請求書、見積書など紙の書類の扱いがある場合もテレワークに不向きです。管理職が決済するために書類への捺印が必要となれば、出社しなければせん。テレワークを導入するためにも文書の電子化(ペーパーレス化)を進め、書類の捺印をなくす業務改善が必要となります。

テレワーク導入の注意点

テレワークを導入する企業は、テレワーク勤務規定を定めましょう。テレワークの勤務規定は、業務方法との共通認識を持つことが重要です。万が一のトラブルやリスク対策として、事前に社員と確認しましょう。

テレワーク可能な業務から始める

すべての業務をテレワークに移行するのは困難を極めます。まずは、スモールスタート「小さく始める」から行いましょう。例として、朝礼や朝のミーティングはオンライン会議ツールで行うことや報告書の提出はクラウドサービスを活用するなど、業務ごとにテレワークができるように業務改善しましょう。初めから大部分の業務をテレワーク化すると現場が混乱します。社員のスキルや状況に合わせてテレワークの導入を行いましょう。

セキュリティールールを作る

セキュリティー対策のため、テレワークをする場所を限定しなければならない場合には、どのテレワーク方法で勤務するかルールづくりが必要です。

特にサテライトオフィス勤務・モバイル勤務は、ハードやソフトのリスク対策を検討しましょう。社外でPCを使用する場合、フリーWi-Fiや暗号化がされていない通信を使った社内システムへのアクセスは盗聴、のぞき見される可能性があります。

フリーWi-Fiとよく似たネットワーク名の偽アクセスポイントを作り、盗聴、のぞき見、端末の乗っ取りなどの被害にあう危険もあります。テレワークを行う場合、ネット回線のセキュリティールールを作りましょう。

盗難対策

PCや書類などの盗難被害のリスクもあります。持ち出すPCにはOSパスワードだけでなく、ハードディスクパスワードなど、二重のセキュリティー対策を施しましょう。また、カフェなどでPCを使用している最中の離席は、PC盗難の危険性があります。盗難対策としてセキュリティスロットにワイヤーロックを付けて使用することをおすすめします。

テレワークの定着に向けての取り組み

2020年の新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてテレワークを導入する企業が増えました。しかし、自粛期間中の一時的なものとなり、自粛解除後に多くの企業がテレワーク業務を廃止したためテレワークが定着したとは言えません。

経済産業省では、アフターコロナ以降、企業が生き残るための経営戦略の一環としてテレワーク導入を提案しています。テレワーク導入で生産性の向上、人材確保、コスト削減などの業務改善を推進しています。

業務の棚卸し・効率化を通じた生産性の向上

  • ・テレワークにより、非効率な業務を見える化することによって業務効率化を推進
  • ・通勤・移動の削減により時間を有効活用

人材確保競争への対応

  • ・柔軟な就業形態を通じ、女性や高齢者など多様な人材を確保
  • ・魅力ある労働条件により求職者に訴求

オフィスコストの削減

  • ・ペーパーレス
  • ・オフィスフロアの縮減や地方移転も視野に
引用:総務省 テレワークの最新動向と総務省の政策展開 http://teleworkkakudai.jp/seminar/2020/pdf/iwate/01_soumu201127.pdf

テレワークを推進する理由とは

国がテレワークを推進しているのは、地方創成、一億総活躍社会、働き方改革を実現するためです。これらが実現することで、社会、企業、就業者それぞれにメリットがあります。

テレワークは将来の少子高齢化問題に対しての解決方法とされています。テレワークが普及すると、都市部にオフィスや業務が集中せずどこでも仕事ができるため、少子高齢化が進んでも地方創成に繋がります。

いつでもどこでも仕事ができる環境が整うことで、「一億総活躍社会」の実現に向かいます。 テレワークによる働き方改革は、これからの新しい生活様式に合わせたものだけでなく、これからの社会づくりに重要な意味があります。

テレワークは出産・育児・介護で離職しなければならない人材も継続して業務ができるようになります。働き方改革によるワークライフバランスの実現を目指しています。

ワークライフバランスとは

国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会

引用:内閣府 仕事と生活の調和とは(定義) http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html

テレワークによる在宅勤務が普及することで、離職率の低下を抑え、幅広く求職者を募集することができます。

企業はテレワーク活用でコスト削減と人材確保ができる

企業がテレワークを実施する本当の意味とは、テレワークを導入し定着させるために、業務を見直し、非効率な業務を削減して業務効率化を図ることです。業務効率化を行うことで生産性が向上し、利益アップに繋がります。これからの少子高齢化社会で企業が生き抜くためには積極的なテレワーク活用が必要となります。

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