Society5.0を実現するためのICT教育とは

最終更新日:2020年11月18日

超スマート社会の実現を目指すSociety5.0の実現に向けて、すでに多くの産業が取り組みを始めています。それは教育の分野でも例外ではありません。 特に教育は、他の産業と比べても成果が見えてくるまでに時間がかかる分野なので、中長期的な計画をもとに取り組んでいく必要があります。

Society5.0では、小中学生から大学院、社会人までを対象に充実した学びを提供していき、今後のイノベーションを担う人材が質向上と能力発揮ができるように、初等教育の現場から子どもたちをサポートしていく必要があります。

すでに始まっている取り組みもありますが、Society5.0が提唱する教育の取り組みがどのようなものかをみていきましょう。

Society 5.0が提唱する学びの在り方とは

子どもたちの個性は多様化しています。もともと多様ではあったかもしれませんが、これまでは画一的な人材を育成するための教育であったため、多様性が認められづらい環境でした。

Society 5.0が目指す社会は、多様性を認め誰一人取り残さない社会です。達成するためには、子どもたちの個性に応じて最適化された学習環境を提供していくことが必要になってきます。しかし、多様性に対する最適化とは、生徒一人ひとりにカスタマイズされた指導・学習が必要になり、学校や先生に対しての負荷は高くなることが懸念されます。

Society 5.0が提唱する教育の現場では、子どもたちにも先生にも最適で効率の良い環境を提供してくことを目指して、ICTやAI技術、ビッグデータなどの先端技術を用いた教育プログラムや指導方法を発展させていきます。

例えば、子どもたちの学習ログを蓄積して、それぞれの習熟度に応じたプログラムの提供や学習環境のマッチング、学習到達度や学習課題などに応じて年齢や学年の異なる集団での協働学習、大学や企業、NPOなどと協働で実施する学習プログラムなどの実践を進めていきます。

Society 5.0の達成に求められる人材とは

Society 5.0の目指す社会は、高度化したテクノロジーを活用してこれまで創造できなったサービスや連携したシステムによってもたらされる快適な社会環境、そして、年齢やジェンダーや環境による格差が生まれない、誰一人取り残さない社会です。

そのためには、新しいテクノロジーを支えるエンジニアの育成も当然必要ですが、イノベーションに対して感性や探究心をもって牽引していける力を持つ人材が望ましいと考えられています。文章の読解力やテクノロジーを理解できる論理的思考などの基礎的な学力から数学的な理論を整理・組み立てられる力が求められてきます。

また、テクノロジーや知力だけではなく、さまざまな価値観を持った人々と協力しあって、協働できるマインドを持ち合わせた、バイタリティ豊かな人が新しい社会を牽引できる人材として求められます。

ICTを活用するSociety5.0時代の教育

Society 5.0が考える教育では、授業に際してICTの活用は欠かせない要素です。

ICTの活用というのは、先生や子どもたちがパソコンやタブレットなどの端末から学習プログラム用のツールを使って学習を進めることがイメージしやすい部分でしょう。

Society 5.0の時代には、さらに毎日の授業や構内活動で蓄積されるデータを集約したビッグデータを活用し、ひとりひとりの子どもたちに合わせて最適化された学習プログラムを提供します。

校内の事務作業を軽減させ、先生として子どもたちを教えることに集中し、能力を発揮できるような校内オペレーションの効率化システムなども合わせて導入が想定されています。

また、複数の学校や遠隔地や海外などからの授業も行っていくため、テレビ会議システムや書画カメラ、マイクスピーカーなどのツールが必要です。快適な通信環境を維持できるための通信インフラやデータ蓄積に耐えられるデータベースの構築など、安定した授業を行えるための環境構築も必要な要素となってきます。

ICTを活用した教育の例

将来を見据えたSociety 5.0ですが、すでに多くの教育現場では、実証実験やICT活用が行われています。いくつかの活用例をみてみましょう。

学校向けICT教材「すらら」導入による個別最適化学習

ICT教材導入の目的は、生徒の学習生産性・学習効果向上、学習意欲向上があります。 また、教員の指導生産性向上や学習情報の保護者・学習者・学校の三者間共有の実現を目指しています。

生徒それぞれがパソコンを使って、各自のペース・習熟度に合わせて科目を進められるため、短時間に効率よく学習することができます。

すでに導入・実践している学校では、適切な難易度の学習を提供できそれぞれの習熟度に応じたサポートができるため、子どもたちの集中力や理解度が高まった、私語が減ったなどの声が上がってきています。

先生は学習を「すらら」に任せられることで、本来のコーチングやファシリテートといった先生ならではの指導力を発揮することができます。学習結果はデータ蓄積されるため、子どもたちの個性に合わせて継続にサポートしていくことにも活用されていきます。

参考:経済産業省「未来の教室」プロジェクト 実証事業 https://www.learning-innovation.go.jp/ 参考:株式会社 すららネット https://surala.jp/school/

遠隔による授業や職業体験

ICTを活用するシチュエーションとしてもっとも期待値が高いテクノロジーは、遠隔によるミーティングや授業でしょう。テレビ電話のような1対1での会話を前提としたツールではなく、複数人同士の双方向でのコミュニケーションがストレス無くできるツールや安定したレスポンスのネットワーク環境が望まれています。

すでに実施された授業では、書画カメラやテレビ会議システム、ヘッドセット装着やマイクスピーカーなど音声の聞き取りがしやすい機器の導入やネットワーク環境を事前に確認し、安定した通信が可能であることを検証して遠隔授業に望んでいます。

例としては、海外に住むネイティブスピーカーと、複数の小中学校を結んだ英語教育や生徒同士の交流や、訪問が難しい職場に対して、複数の学校と社会人メンターを遠隔で結んで、メンターの話を聞いて生徒に職業への興味や関心を持ってもらうなどの体験授業が行われています。

さまざまなツールを活用したICT教育

すでに教育現場には、さまざまなICT活用ツールが導入されています。 有名なものは小学生向けにプログラミングが学べるツール「Scratch」でしょう。「Scratch」はプログラミングの理屈を直感的でわかりやすいインターフェイスで学ぶことができます。

すでに世界各国で使用されていますが、さらに幼少児向けには「Scratch Jr」もあります。 プログラミングで言う条件分岐や実行命令を“めがね”を使用するだけで感覚的に操作できる「Viscuit」も小学生の低学年のプログラミング学習に活用されています。

これらのツールで、動きのある絵を描いてみたり、ゲームを作ったり、それらを先生や生徒がPowerPointにまとめてスライド投影したり、多くの授業での活用がはじまっています。 ポイントは、プログラムを単体の知識として覚えるのではなく、数英国をはじめとしたいろいろな科目と掛け合わせることで、生活のさまざまな場面でも論理的思考を活かせるように考える力や応用する力をつけていくことでしょう。

参考:合同会社デジタルポケット https://www.viscuit.com/ 参考:Scratch https://scratch.mit.edu/

Society5.0を実現するためには、子供たちだけがICT教育を受けるのは不十分です。学校関係者だけでなく、親も一緒にICT教育について学ぶことが必要です。これからはICT教育に興味、関心を持ち、子供たちのサポートをしていきましょう。




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