Society 5.0の意味と未来社会の姿とは
最終更新日:2020年11月16日
近年では、ドイツ、アメリカ、中国など、世界各国でITC(情報通信技術)やIoT(モノのインターネット)を活用した、次世代に向けた社会変革を目指す国家プロジェクトが提唱されています。
日本でも、科学技術基本法に基づいて策定される第5期科学技術基本計画において、”世界に先駆けた「超スマート社会」の実現”を目指すキャッチフレーズ「Society(ソサエティー)5.0」が提唱されています。
これからの未来に向けたSociety5.0とはどのような概念なのかを知っていきましょう。
Society 5.0とは
第5期科学技術基本計画では人類の社会変革を、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)と順序づけました。
私たちがこれまで経験してきた社会変革はSociety 4.0と位置づけられ、インターネットなどの情報通信技術を利用した、個別の企業などが提供するシステムや機能を発達させてきましたが、それとともに多くの社会課題も発生していました。
Society 5.0とは、日本が目指すべき未来社会の姿と社会課題を解決する取り組みとして提唱された次世代へのマイルストーン(中間目標地点)です。
Society 5.0は快適で活躍できる社会
第5期科学技術基本計画の中には、Society 5.0で目指す「超スマート社会」について以下のように述べています。
「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことのできる社会」
引用元:内閣府 第5期科学技術基本計画 https://www8.cao.go.jp/cstp/kihonkeikaku/5honbun.pdfSociety 5.0の目指す「超スマート社会」は、エネルギー、交通、製造など複数の異なるシステムを連携させ、ロボットやAIと共生するなど、現在のシステムをさらに高度化することによって、テクノロジーの活用によって快適で誰もが活躍できる社会です。
Society 5.0のしくみ
Society 4.0の社会では、DBサーバーやクラウドサービス(データベース)に人がインターネットを経由してデータを取扱います。Society 5.0では、ICTやIoTを高度に発展させたシステムと融合させることで、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実世界)の橋渡しをロボットやAIがしてくれる社会システムが誕生します。
フィジカル空間で利用した人や物の情報をセンサーから端末のDBやビッグデータに蓄積、AIがデータ解析をします。その結果をロボットや音声デバイスなどを通して人間の生活にフィードバックしてくれることで、これまでには出来なかった新たな価値が社会にもたらされることが期待されています。
Society5.0を支える技術
政府が提唱するSociety5.0を実現させていくために、既存のテクノロジーをさらに高度化させていく必要があります。そんなテクノロジーの一部を紹介していきましょう。
- ・IoT
- ・ビッグデータ
- ・AI
- ・5G
- ・ドローン
- ・キャッシュレス決済
- ・VR(Virtual Reality:仮想現実)
IoT
IoTとはInternet of Thingsの略で、読み方はアイオーティーです。"モノのインターネット"と訳され、物理的な”モノ”に通信機能を搭載して、インターネットに接続・連携させる技術です。スマートスピーカーが代表的ですが、冷蔵庫やロボット掃除機などの家電をはじめ、他にも多くのIoT製品が続々と発表されています。
ビッグデータ
ビッグデータは、一般的なサーバーや処理ソフトでは扱えないほど巨大で複雑なデータの集合体を表す用語です。AmazonやGoogleなどの世界的企業が収集・蓄積・解析している様々な種類の莫大なデータのほか、個別企業が保有する顧客のセグメント情報にも使われるなど広い意味を持っています。
AI
AIとはArtificial Intelligenceの略で人工知能と訳されます。人間が持つ認識や推論などの能力をコンピューターでも可能にするための技術の総称で、人間のように考え問題解決できるようになるため日夜研究が進められている分野です。
5G
5Gは1980年代に導入された移動通信システムの第5世代のこと。5th Generationで5Gと呼ばれています。既存の4G回線よりさらに高速で大容量通信が可能なシステムとして期待されています。
ドローン
ドローンとは無人航空機のことで、人が行けない場所や登れない場所の空撮ができるラジコンとしての認知が一般的です。将来的には過疎地への物資の自動配達や災害現場などでの利用が検討されています。
キャッシュレス決済
現金以外の方法で決済することです。身近なところでもすでにQRコード決済や交通系ICカードなどで利用される場面が増えてきています。
VR
VRとはVirtual Realityの略で仮想現実と訳されます。仮想現実とはコンピューターによって作り出された人工環境やサイバースペースを現実のように知覚させる技術のことで、最近ではゲームにも採用され、その没入感が話題になっています。
他にも、大規模データの高速処理を低消費電力で実現するためのデバイス技術や大規模データを処理するネットワーク技術、リアルタイム処理の高速・多様化に向けたエッジコンピューティング、これらの基盤技術を支える横断的な科学技術や研究開発との連携強化や人材育成の強化もSociety5.0を実現していくための必要なリソースとなってきます。
これらの高度な技術に対してはサイバー攻撃のリスクも想定する必要があります。高度化したテクノロジーとともに堅牢なセキュリティ技術を同時に発展させることで、日本の企業価値や国際競争力を高められると考えています。
新たな価値で経済発展と社会的課題の解決を両立するSociety 5.0へ
Society5.0がもたらす技術革新は、年齢、性別、地域、言語による格差の是正、カスタマイズされたサービス提供、潜在的ニーズに応えてくれるAI、など新しい価値を持った物やサービスなどが創出されることで経済発展につながります。
また、イノベーションによる社会システムの最適化が、過剰生産を削減、エネルギーの安定的な確保、適切な分野へ人材不足解消など現在のさまざまな社会課題の解決をもたらしてくれることが期待されています。
各分野における新たな価値の事例
Society5.0によって創出される新たな価値の一部事例をみていきましょう。
高度道路交通システム
自動車による観光であれば、ドライバーや同乗者のニーズを汲み取り、天気や道路状況、宿泊先、移動先での食事、過去の履歴などの自車が保持するデータベースとサイバー空間のビッグデータを複合的に解析します。
また、最適な移動ルートを選択してくれたり、移動中も状況判断をしてくれたり、目的地から先の公共交通と組み合わせて、スムーズに移動できる方法をサジェスト(提案)してくれるようになります。
地域包括ケアシステムの推進
各自が所有するデバイスから、リアルタイムに体調などの計測データが共有され、人工知能が生活支援、健康促進をはじめ、調子が悪ければ最適な治療を案内してくれます。医療現場でのリアルタイムな情報もデータベースに共有されており、各自にあった最適な医療・介護に関するアナウンスをしてくれるので、健康増進以外にも医療現場の人材不足も解消することができます。
新たなものづくりシステム
消費者の需要やサプライヤー(仕入れ先)の在庫状況、配送に関する各種情報などを含むビッグデータをAIが解析します。製品の生産計画や在庫管理、工場の生産状況や物流に関する情報などが連携し、不足している場所に最適に製品を送り届けることができます。
製造からユーザーの手元に届くまでのスピード感も増しますし、災害時でも状況に応じた対応が可能、自動化によって工場や配達の人手不足も解消されます。
自然災害に対する強靱な社会の実現
災害が起きた場合、人工衛星やドローン、各地の建物センサーなどから災害地の被害状況を瞬時に把握し、必要になる支援がスピード感をもって提供することができます。 人が足を踏み入れられない場所でも、ドローンや救助ロボなどの技術により、迅速に救助や支援を行えます。
上記以外にも、ウェブデータ、人間の行動データ、三次元の地理データ、交通データ、環境観測データ、ものづくりや農作物等の生産・流通データがあります。さまざまなデータを収集・解析・連携協調したシステムを横断的に活用していくことで、社会のあらゆる場面でSociety5.0の新たな価値が発揮されていくことでしょう。
Society 5.0による人間中心の社会
Society 4.0の社会では、個人の知識やスキルに応じて受けられる利便性に差が生じていました。環境や年齢、性別などで活動が制限されるなど、社会サービスを受けることに格差が生じています。
Society5.0が目指す社会は、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができる、人間を中心とした社会です。高齢者や障がい者でも不自由なく社会参画ができるようにテクノロジーがサポートしてくれるような「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成にも通じる社会をSociety 5.0は目指していきます。
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