RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の意味と概要を解説

最終更新日:2020年11月01日

現在、少子高齢化の進む日本では、労働力の確保、生産性の向上という大きな課題が企業にのしかかっています。貴重な労働力を有意義に活かすためのBPO(Business Process Outsourcing)は以前から大きな普及を見せています。BPOは業務の一部を外部の専門業者へ委託するサービスですが、業務の一部を「人間」ではなく「ロボット」に補ってもらうというツール・RPA(Robotic Process Automation)が近年大きく注目されています。

生産性向上に欠かせないツールへと発展している、「RPA」の意味と概要についてご紹介します。

RPAの意味とその概要

RPAはロボティック・プロセス・オートメーションの略

さまざまな企業で導入が進むRPAはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、業務プロセスを自動化する技術の一種です。

ロボティックと聞くと日本人は機械のロボットを想像することが多いですが、ここでいうロボットは業務をプログラムに沿って実行するソフトウェアの通称のことです。また、デスクトップの作業のみのものをRDA(ロボティック・デスクトップ・オートメーション)と呼称しRPAとは区別している場合もあります。

RPAの得意とする業務はルーチンワークであり、人手のかかっていた単純作業の業務をRPAによって、作業時間の短縮や生産性の向上が期待できます。そのため近年においては大企業から中小企業まで、さまざまな場面での導入が進んでいます。

グローバルな視点から見ると、海外では多言語社会、宗教や思想の違いなどで作業のスムーズな統一化が日本より難しいため、単純作業の自動化が急務でした。そのためRPAは早くから導入が進んでおり、日本は海外よりも少し遅れての参入でしたが、人手不足・働き方改革などの理由により利用は急成長しています。

ツール製品の売り上げ、RPA関連サービスと市場の勢いはめざましく、RPAの国内での導入率は2020年の時点で38%、大手企業に限定すると51%と半数以上の数値になっています。

RPAはさまざまな規模や利用方法があるため、業種に合わせてポイントを押さえた活用法をRPAベンダーと相談し、理解していく必要があります。

RPAとAI、VBAの違い

ボタン一つで単純作業の処理を自動化するものといえば、Excelなどのマクロ機能が有名であります。しかしマクロ機能は使いこなすためのプログラミング言語VBA(Visual Basic for Application ビジュアルベーシック・フォー・アプリケーションズ)の知識が必要となり、また、PCのローカル上での活用を基本としています。RPAは人間の操作と同様に複数のアプリケーションを行き来しての作業も自動化が可能であり、幅広い自動化・効率化を望めます。

AI(Artificial Intelligence アーティフィシャル・インテリジェンス)「人工知能」は分析能力を持つシステムで、RPAを「手」とするなら、AIは「頭脳」と例えることができます。人間の頭脳のような判断を得意としており、業務の完全自動化が可能です。しかし、開発や運用に多大なコストがかかります。「ロボットが作業をしてくれる」との印象からRPAとAIを混同しがちですが、どういった作業を得意とするのか、それぞれの導入、運用方法、コストなどは大きく異なっています。

RPAツールの3つの種類

オンプレミス

サーバー型ともいわれるタイプで、自社内に設置したサーバーに端末からアクセスして利用する形式です。統括的にサーバー内で業務を自動化するため、データとルールを一括管理しやすくなっています。

デスクトップ

それぞれのPCの作業を自動化するものです。各PC内の業務内容に特化して自動化が可能なため、小規模で費用も比較的安価になります。担当者レベルで管理したい業務や他PCへの情報漏洩リスクの低減を計る場面などで有効です。

クラウド

上記のタイプよりも新しいタイプで近年大きく注目されており、導入率も増加傾向にあります。

オンプレミス、デスクトップの両タイプは「インストール型」と言うのに対比しての「クラウド型」とも言う。

インターネット経由でRPA機能を利用するいわゆるSaaS形態となっており、利用する各端末へのインストールが不要なため、利用開始が迅速に行うことができます。ブラウザからインターネット経由のアクセスですぐに利用可能であり、WindowsやMacなどOSの製品種別に関係なく使用できます。」自宅からのテレワークにも最適なため、今後ますます注目されるタイプといえます。

またSaaS形態の大きなメリットとして、端末とソフトウェアの自社管理・保守が不要です。自社にサーバーやデスクトップにRPAを設置している場合は、そのインストールされているサーバー・端末・ソフトウェアの管理と保守は必須になりますが、クラウドであれば管理・保守が不要なため、ユーザーは保守を気にせずにRPAを常に最新の状態の利用が可能です。

RPAが社会にもたらす影響

ホワイトカラーの生産性向上

「ロボットで自動化」と言うと工場などで人間の代わりにオートメーションで作業するロボットや機械を想像するでしょう。RPAは「ホワイトカラーの作業をロボットで自動化」している状態です。ホワイトカラーで人間の行っていた単純作業を、RPAを導入することで手間のかかっていた作業の自動化を実現可能にしています。

これまで人的コストを多大に消費し、単純な仕事を長い時間かけて行っていたものが、RPAの導入でたったのクリック1回の一瞬で終わるようになった事例も多々あります。単純作業をRPAが担ってくれるぶん、人間は他の思考的業務や営業に専念できます。

労働人口・人手不足の進む現代の日本では、こういった新しい技術を導入してのホワイトカラーにおける働き方改革が急務といえます。

アウトソーシング(BPO)とRPAの違い

人手不足の対応策として、ホワイトカラーの業務に付随する間接業務を外部の会社に委託するBPOサービスは以前からすでに広く浸透しています。その間接業務をBPOからRPAへ移行する事例もあります。

RPAはルーチンワーク、反復作業、単純作業が向いており、人的ミスもなくスピーディに休みなく処理できます。そのためBPOはRPAやAIの参入により、単純作業から脱却し創造性とデジタルの知識を求められるものへと変容しつつあります。従来BPOが担ってきた業務をRPAで処理可能になってきたため、BPOは逆に業務内容をRPAごとひっくるめて業務サービスとして顧客に提案し、その運用をアウトソーシングで担当していく方向へのシフトチェンジが進んでいます。

PRAツールはどういった業務に向いているか

バックオフィス業務

事務処理の多いバックオフィスでは、大量のルーチンワークが発生します。勤怠・人材管理、給与計算、経理・会計、法務、生産管理、等のルーチンワークの処理がRPAのもっとも機能を発揮できる業務です

フロントオフィス業務

顧客対応が必要となる窓口業務では、フレキシブルな対応が求められます。その業務の中でRPAが活躍できるのは顧客データの管理や新規登録、データ入力、書類処理などがあります。

デジタル化が進んでいないとRPA導入が難しいが、ペーパーレス、ハンコレスが進むなか、デジタル化からRPA導入への流れが今後も増えていくことが予想されます。

RPAの活用が生産性の向上に必要

RPAは、働き方改革につながる業務改善ツールです。RPA導入の目的、目標を明確にし、自社に合うツール選択して運用していくことが重要です。導入の際には現場とシステム担当者が連携し、運用ルールを作成しましょう。自動化が可能な業務内容を拡大し、業務効率化を進め、生産性向上を目指しましょう。




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