チャットボット導入前に必要な準備とは

最終更新日:2020年12月15日

お客様からのお問い合わせに自動で回答できるチャットボットをカスタマーサポートに導入する企業が増えてきました。 導入を検討するにあたって「事前になにを確認しておけばいいのかわからない」「導入効果が見込めるのか」といった不安の声もあります。

これからチャットボット導入を検討している企業へ、導入事例から導入時の注意点について説明します。

さまざまな業種がチャットボットを導入している

IT系企業以外のWEBサイトでもチャットボットは積極的に導入されています。

金融業界事例

従来よりも気軽に問い合わせができるため、顧客の必要とする資料への誘導もスムーズになり、サービス導入などの売り上げアップが期待できます。オペレーターとの対話を必要とする高度な質問もチャットボットにてある程度誘導されているため、一人当たりの対応時間削減・処理件数の増加となり、業務効率化が向上しました。

ファッション企業事例

ECサイトを持つ企業でも、チャットボットは非常に効果的です。 商品に関する質問や注文状況の確認、支払い方法についてなど、問い合わせ対応をチャットボットによる自動回答にしたことで、ユーザーの満足度向上、オペレーターの負担削減に繋がりました。

チャットボット導入前に準備すべき4つのポイント

導入の目的を明確化する

事前に、チャットボットを導入する目的を明確にしましょう。

  • ・カスタマーサポートで活用し、人間が応対する工数を減らすことで人員コスト削減を目指す
  • ・気軽に質問できるサイトで問い合わせを獲得し、購入や申し込みの成約率向上に繋げる

といった目的で、導入に最適なチャットボットツール、サービスが変わります。 どのような成果を出したいのかしっかり決めておくことで、適切なツールを選定できます。

ユーザーのメリットを優先して導入する

チャットボットを導入しても、ユーザーが使いにくいツールでは期待する効果は得られません。ユーザーが使いやすくするためには、以下について、考慮する必要があります。

  • ・入力しやすい表示
  • ・表記のゆれに対応している
  • ・望む回答がすぐ出てくる
  • ・別のウインドゥやアプリに行く必要なく、一つの画面で完結できる
  • ・チャットボットで回答が難しい場合、有人対応へのスマートな切り替え

このように利便性の高いチャットボットの運用が成約率や顧客満足度の向上に繋がります。

運用担当者を決める

チャットボットは導入して終了ではありません。運用開始後も分析を行い、回答精度を上げるためにメンテナンス・更新していく必要があります。

運用開始後にもユーザーの利用度が高い回答のシナリオを充足させる、商材の変更に伴って回答内容を変更するといったことを継続しなければなりません。需要に合わせて柔軟に運用できる体制を作っておくことが、顧客満足度の向上に繋がります。

運用担当者を自社で用意できないといった場合は、運用ノウハウを持つチャットボットベンダーに代行を依頼する方法もあります。その場合は「カスタマーサポート」と「マーケティング」、自社がどちらを目的としてチャットボットを導入するのかを明確にしておき、ベンダー選定をするとよいでしょう。

チャットボットと有人オペレーター対応の両方が必要

チャットボットでは回答できない問い合わせは必ず発生します。チャットボットが対応不能となった分岐で有人チャット対応、もしくはオペレーター対応へ繋げるシステムを準備しておけば、ユーザーの疑問や要望を放置せずにすみ、回答率・解決率の向上に繋がります。有人対応によって顧客ニーズを素早く把握できることで、顧客満足度も上がります。

チャットボットの効果測定

チャットボットで生まれた効果を測定し、それをさらに運用改善へと繋げていく必要があります。 効果測定にはさまざまな指標があり、自社の目標設定を事前に決定し、それを元に運用後の比較で効果を見ていくことになります。例えば、指標として回答率、解決率、チャットボット経由の成約率などがあります。

蓄積されたデータを分析・検証し、運用の改善や見直しを続けることで、チャットボットの効果的な運用が実現できます。

チャットボットを導入の注意点とは

チャットボットは非常に有能なツールですが、簡単な設定や導入では業務効率化は図れません。チャットボットの注意点を確認しておきましょう。

チャットボット導入には時間がかかる

「カスタマーサポート」か「成約率アップ」という目的によって、チャットボットサービスは変わります。また、導入にかかる時間も大きく変わります。

ルールベース型(シナリオ型)は質問が想定しやすいので手軽に運用開始ができるチャットボットです。登録するよくある質問の数で規模は変わってきますので、よくある質問数が多いほどシステムは複雑になり、準備期間も長くかかります。

AI型チャットボットは読み込ませるデータの前処理にも手間と時間が必要になります。時間とコストをかけて導入しても思うような効果が得られない、という事態を避けるため、どのようなチャットツール・サービスが自社に最適かを慎重に選定すべきです。

長い文章の質問に回答できないことがある

チャットボットは長い文章での質問には回答できないことがあります。 単純な問いかけでないと認識が難しいので、ユーザーの望む回答が得やすいシナリオを構築しておき、場合によってはオペレーター対応に切り替える分担が必要です。

AI型の性能も発展しており、文章全体から解釈をし、また言葉のゆらぎからも内容を理解して正しい回答ができるようになりつつあります。

メンテンナンスが必要

チャットボットは導入して終了ではなく、運用開始後も定期的なメンテナンスが必須です。 まず導入直後に効果測定をし、よりよい効果を出すためにメンテナンス・チューニングをしなければなりません。

また、ユーザーのニーズや時事に合わせて情報を更新し、常に最新の状態で回答ができる、信頼度の高いチャットボットにしなければなりません。

チャットボット導入後の課題

チャットボットには、導入するだけでなく、上手く運用し効果を出すための課題があります。

設置先(Webサイト、アプリなど)の訪問者数が少ない

設置先に訪問者数が少ない場合、自社サイトなら全体的な改善が必要になります。チャットボットを効率よく利用してもらうためには、ユーザーにわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)でないとそこから先のアクセスが望めなくなるからです。

インターフェースがアプリやSNSなら、チャットボットへの誘導を増やす、親しみやすい案内にするなど、ユーザー目線での積極的なアピールが必要です。

ユーザーにチャットボットが使用されない

コールセンターやメールでの問い合わせと違い、最初のアクセスが手軽にできるのがチャットボットのメリットです。問い合わせの心理的ハードルをより下げるよう、簡単さと親しみやすさをユーザーへアピールしましょう。

質問をしたのに回答の内容が不十分であった場合、ユーザーはチャットボットを使用しません。回答率や満足度を測定し、チューニングを繰り返して回答の精度を上げていく必要があります。

チャットボットの回答に不満がある

望む回答が得られなかったユーザーに不満が残ってしまいます。そのため事前のヒアリングが重要であり、ユーザーやオペレーターの現場の声を集め、どのようなデータを会話に組み込むべきか慎重に検討すべきです。

回答の内容が古く、ユーザーの希望にそぐわなくなる場合もあります。タイムリーな内容でレスポンスできるよう、定期的なメンテナンスはが必須となります。

チャットボット導入を成功させるには事前準備が必須

チャットボット導入を確実に成功させるためには、事前の準備が重要です。自社の目的を明確にし、その目的に合ったチャットボットツールを選定します。

ユーザーや現場のヒアリングから「どういった回答をユーザーは求めているのか」という要点を定めておかないと、導入後に使いづらいツールとなってしまいます。

チャットボットは全ての質問に回答できるわけではありません。有人オペレーターでの対応も必須となるので、チャットボットと有人との業務の分担も事前に決めておくべきでしょう。

チャットボットはさまざまな業界で導入されるようになってきました。しかし、チャットボットがすべての問題解決に繋がるわけではありません。導入後に効果的な運用ができるよう、「コスト・手間・時間」をどれだけかけることが可能なのか判断し、自社の目的と規模に合わせてツールの選定をしていく必要があります。

  • ・問い合わせの削減(カスタマーサポート)
  • ・問い合わせ・成約率の増加(マーケティング)

上記のどちらを目的とするかで、ツールもサービスも異なります。その運用ノウハウを持つチャットボットベンダーを選び、協力して導入を進めていくとよいでしょう。

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