企業・店舗が抱えるキャッシュレスの問題点とは

最終更新日:2020年12月07日

現金以外の決済手段として、注目されているキャッシュレス決済ですが、日本は海外と比べ普及率が低いのが現状です。キャッシュレス普及のため、消費者には様々な特典やキャンペーンが実施されていますが、企業や店舗でキャッシュレスが普及しない問題点をまとめました。

キャッシュレス決済の利用者が少ない

日本のキャッシュレス決済比率は25%ほどで、現金決済の取り扱いが多くあります。現金を好む国民性と社会情勢がキャッシュレス決済の普及が遅れている理由となります。

多くの日本人は自宅で現金を管理する『タンス預金』をしています。タンス預金のメリットはいつでも必要に応じてお金を使うことができるため、不便がないことです。 非常時でもお金の準備に困らないため、現金を持つことが安心感につながっています。

今後、国はキャッシュレス決済比率を4割まで上げることを目標にしています。しかし、現金の信用が高く半数以上は現金決済の取り扱いになるため、キャッシュレスが普及するまでは時間がかかると予想されます。

導入コスト・ランニングコストがかかる

キャッシュレス決済の導入には、通信用のネット環境と決済用の専用端末が必要です。ネット環境がある店舗でしたら、専用端末の購入やレンタルにより、導入コストの負担を抑えられますが、インターネット回線工事から行う場合は、高額な導入コストがかかります。

すでにPOSレジを使っている店舗では、システムの連動が可能か、改修に費用がかかる、POSレジを入れ替えなければならないなど、新しくキャッシュレス決済方式を取り入れるための費用負担が発生します。

キャッシュレス決済は、決済用の専用端末と通信費の導入コストやランニングコストがかかることが企業や店舗で導入しない理由となっています。

レジ担当者や管理担当の人材育成が必要

キャッシュレス決済導入にはレジ担当者へ操作方法の指導、研修が必要です。簡単な取引に思えますが、レジ担当者はお客様の決済サービスアプリ、デバイスごとの操作や対応方法を覚えなければいけません。キャッシュレスに不慣れなお客様へ使い方の説明も必要になるため、サービスや機器の知識を身につけなければいけません。

お客様からの返金・交換対応については、現金決済より処理が複雑になるため、対応マニュアルが必要です。キャッシュレス決済を使える人材だけでなく、指導する人材や管理・運用できる人材の育成が必要になります。

災害時・非常時に使えない

キャッシュレスは、災害時や非常時に使用できないと言われています。電気や通信環境などインフラが整っていないと使用できません。キャッシュレスサービス事業者のネットワーク障害やシステム障害が発生した際にも決済が出来なくなります。

停電時でもキャッシュレス決済ができるように、大容量モバイルバッテリーやポータブル電源の備えがあると良いでしょう。

通信障害が発生した場合の対応策として、照会の必要がない電子マネー決済や現金の準備も備えましょう。

高すぎる決済手数料・加盟店手数料

キャッシュレス決済を利用するには、キャッシュレス決済手数料や決済代行業者への加盟店手数料がかかります。現金決済と比べて、手数料の発生するキャッシュレス決済は粗利が減ります。現金商売が主となる店舗や企業にとってキャッシュレス決済の手数料は負担でしかありません。

キャッシュレスでもクレジットカード決済は加盟店手数料がかかりますが、業種や業態によって手数料率は変わります。クレジットカード決済が多い店舗や中規模店舗、チェーン店など規模が大きいほど加盟店手数料が1%~3%以内と手数料率は低く設定されています。

しかし、加盟店手数料の未回収リスクが高くなる個人事業主の飲食店や居酒屋は3%~6%と手数料率はチェーン店に比べ高くなっています。

スマートフォン決済と言われるQRコード決済やカード決済の手数料は3%台となっています。自社の業態や事業規模で、どのキャッシュレス決済を導入するか、比較検討すべきでしょう。

キャッシュレスの手数料がかかる分、人件費の削減や客数増加の施策を同時に行う必要があります。キャッシュレスで利益を上げるには中・長期戦略が必要となります。

特殊詐欺や犯罪への懸念

キャッシュレスの利便性の高さは犯罪にも使われています。消費者だけでなく、企業や店舗もキャッシュレスへの犯罪抑止策が必要となります。

QRコードの張替え

スマートフォン決済には2つの方法があります。レジで自分のスマホにQRコードを表示し、店舗側が決済端末で読み取る方法と、レジ前に表示されたQRコードを自分のスマホで読み取る方法です。レジ前にQRコードを印刷した紙を設置するだけで、スマホ決済が導入できるため、利用している店舗が多くあります。

このQRコードを偽造、張替えをして犯人の口座に送金させる手口がありました。QRコードの偽造があるため、レジ担当者はQRコードを印刷した紙の取り扱いに注意が必要です。また、決済事業者への日々の売上計上の確認も行いましょう。

個人情報保護

キャッシュレス決済には、顧客購買データをマーケティングに活用できるメリットがあります。現金決済ではデータの収集ができなかった、客層、購入時間、購入商品、購入回数などのマーケティングに必要なデータを収集することができます。

決済データの蓄積は、効率的なプロモーションが展開できます。また、店舗やサービスのラインナップの改善にも役に立ちます。

しかし、企業側は決済データ活用について、ユーザーの同意を取らなければなりません。決済データは個人情報を含むため、個人情報保護法に沿った取り扱いが必要となります。

キャッシュレス決済のセキュリティーは脆弱性の可能性があり、悪意あるユーザーは不正アクセスを狙っています。これからも悪意あるユーザーによる脅威があることが予想されます。企業側は不正アクセスに備えた対応や対策が必須となります。

『昨今、キャッシュレス決済の導入に当たり、決済機能を提供するアプリケーション等 を導入する事業者の方々が増加していますが、既存サービスのアカウントに対するリスト型アカウント攻撃をはじめとする不正アクセスにより、決済機能が悪用され、利用者に被害が発生する事例が報告されています。 決済機能を提供するアプリケーション等を導入済、又は導入の検討をされている事業者の方は、不正アクセスに備えた十分な対策を講じていただきますようお願いいたします。』

引用:個人情報保護委員会 キャッシュレス決済機能を提供する事業者の皆様への注意喚起 https://www.ppc.go.jp/files/pdf/190806_chuui_jigyousha.pdf

キャッシュレスの問題点とメリットを比較して導入を検討する

キャッシュレスは消費者へ利便性を提供し、企業の経理業務の負担軽減するものになります。国も現金取り扱いコスト削減に向けて、キャッシュレス化を推進しています。これからの企業経営の重要課題となる労働人口の低下に対して、さまざまな対策を行わなければいけません。

キャッシュレス決済は従業員による現金紛失・盗難等のトラブルを減少し、釣銭の準備や現金の入出金の回数が減り、レジ締めに係る作業時間を短縮できます。業務効率化と生産性向上が可能となるキャッシュレス決済について、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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