サイバーセキュリティ基本法で知っておくべきポイントは?

最終更新日:2021年04月18日

サイバーセキュリティ基本法とは何か

「サイバーセキュリティ基本法」とは、サイバーセキュリティに関する施策を総合的、かつ効率的に推進するために、基本理念を定めて国の責務等を明らかにし、サイバーセキュリティ戦略の策定その他当該施策の基本となる事項等を規定したものです。

この法律や他の関係する法律について、「E—GOV 法令検索 平成二十六年法律第百四号 サイバーセキュリティ基本法」※1 及び、令和2年3月2日に内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が作成した、「サイバーセキュリティ関係法令 Q&AハンドブックVer1.0」※2をもとに説明をしていきます。

※1E—GOV 法令検索 平成二十六年法律第百四号 サイバーセキュリティ基本法

※2「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック 」について

サイバーセキュリティ基本法の歴史

サイバーセキュリティ基本法は、2014年(平成26年)に成立し、2015年(平成27年)1月から施行されています。2016年と、2018年の改正に改正されています。

2015年(平成27年)1月、同法に基づき内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」が設置されました。

サイバーセキュリティ基本法と内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)

NISCは、2014年11月、サイバーセキュリティ基本法が成立し、この法律に基づき、2015年1月、内閣に「サイバーセキュリティ戦略本部」が設置され、同時に、内閣官房に「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC:National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurityの略)」が設置されました。

サイバーセキュリティ基本法の目的

サイバーセキュリティ基本法 第一条には、サイバーセキュリティ基本法の目的が書かれていますのでここに引用します。

「第一条 この法律は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用の進展に伴って世界的規模で生じているサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化その他の内外の諸情勢の変化に伴い、情報の自由な流通を確保しつつ、サイバーセキュリティの確保を図ることが喫緊の課題となっている状況に鑑み、我が国のサイバーセキュリティに関する施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びにサイバーセキュリティ戦略の策定その他サイバーセキュリティに関する施策の基本となる事項を定めるとともに、サイバーセキュリティ戦略本部を設置すること等により、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年法律第百四十四号)と相まって、サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって経済社会の活力の向上及び持続的発展並びに国民が安全で安心して暮らせる社会の実現を図るとともに、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に寄与することを目的とする。」引用ここまで

簡単にまとめると、インターネットの普及と発展により生じているサイバーセキュリティに対する脅威が深刻化していますが、情報の流通を止めることなく、サイバーセキュリティを確保するために、日本でもサイバーセキュリティの基本理念を決めてサイバーセキュリティのための戦略本部を設置し、施策を推進して安心安全に暮らすことを目的として制定した法律です。

サイバーセキュリティ基本法の理念

第三条にサイバーセキュリティ基本法の理念が記載されています。
理念は6つあります。1番から6番までを引用します。

1.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用による情報の自由な流通の確保が、これを通じた表現の自由の享有、イノベーションの創出、経済社会の活力の向上等にとって重要であることに鑑み、サイバーセキュリティに対する脅威に対して、国、地方公共団体、重要社会基盤事業者(国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業を行う者をいう。以下同じ。)等の多様な主体の連携により、積極的に対応することを旨として、行われなければならない。

2.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、国民一人一人のサイバーセキュリティに関する認識を深め、自発的に対応することを促すとともに、サイバーセキュリティに対する脅威による被害を防ぎ、かつ、被害から迅速に復旧できる強靭な体制を構築するための取組を積極的に推進することを旨として、行われなければならない。

3.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備及び情報通信技術の活用による活力ある経済社会を構築するための取組を積極的に推進することを旨として、行われなければならない。

4.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、サイバーセキュリティに対する脅威への対応が国際社会にとって共通の課題であり、かつ、我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることに鑑み、サイバーセキュリティに関する国際的な秩序の形成及び発展のために先導的な役割を担うことを旨として、国際的協調の下に行われなければならない。

5.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法の基本理念に配慮して行われなければならない。

6.サイバーセキュリティに関する施策の推進に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。

サイバーセキュリティ基本法の理念の説明

サイバーセキュリティ基本法の理念をもう少し噛み砕いて説明します。

1.は、サイバーセキュリティに対する脅威に対して、国、地方公共団体、重要社会基盤事業者等の連携によって、積極的に対応することを述べています。

2.は、国民一人一人も、認識を深めて、サイバーセキュリティに対する脅威による被害を防ぎ、かつ、被害から迅速に復旧できる強靱な体制を構築するための取組をしましょうと述べています。

3.は、サイバーセキュリティに関する施策を進めることで、インターネットその他のネットワークの整備及び情報通信技術を活用して、活力ある経済社会を構築するための取組を積極的に推進しましょうと述べています。

4.は、サイバーセキュリティに対する脅威への対応は、世界共通の課題なので、日本はリーダシップをとって、国際的な秩序の形成や発展のために世界で協力していかなくてはいけませんね。とのようなことを述べています。

5.サイバーセキュリティに関する施策の推進は、2000年に施行された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」の基本理念に配慮して行われなければならないと述べています。

6.サイバーセキュリティに関する施策を進める時に、国民の権利を不当に侵害しないように気をつけなくてはいけませんと述べています。

引用・参照サイト
E—GOV 法令検索 平成二十六年法律第百四号 サイバーセキュリティ基本法

高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の基本理念とは

サイバーセキュリティ基本法の理念の5番目に、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」の基本理念に配慮しなくてはいけないとありますので、ここでは、度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の基本理念について、説明していきます。

高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の概要の、基本理念の内容を以下に引用します。

1.高度情報通信ネットワーク社会形成の意義
高度情報通信ネットワーク社会の形成は、すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会を実現

2.基本的視点
・経済構造改革の推進及び産業国際競争力の強化(電子商取引の促進、新規事業の創出)

・ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現(低廉・多様な情報サービス)
・活力ある地域社会の実現及び住民福祉の向上(地域における就業機会の創出、多様な交流機会の増大)
・民間主導を原則としつつ、国等が公正な競争の促進等環境整備を行う適切な官民の役割分担
・情報通信技術の利用の機会及び活用能力の格差の是正(デバイド対策)
・社会経済構造の変化に伴う新たな課題への対応

2000年の成立当時、世界的にネットワーク社会が形成されるにあたり、どのよようにITを進めていくのか、基本方針や理念を決めた法律です。

しかし、20年ほど経過した今、IT環境は大きく変化しており、IT基本法も改正に迫られています。

内閣官房IT総合戦略室 デジタル改革関連法案準備室より、令和2年10月15日には、「これまでの経緯とIT基本法の概要」※2が、また、令和2年11月13日には、「IT基本法改正の検討の方向性(案)」※3が公表され、新たなITに対する考え方を盛り混み、抜本的な改正を行ったIT基本法が制定されることと思われます。

※1首相官邸 政策会議 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(「IT基本法」)(平成12年11月29日成立)高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の概要

※2]これまでの経緯とIT基本法の概要 令和2年10月15日内閣官房IT総合戦略室 デジタル改革関連法案準備室

※3IT基本法改正の検討の方向性(案)令和2年11月13日内閣官房IT総合戦略室 デジタル改革関連法案準備室

まとめ

高度情報通信ネットワークの環境は日々進化しており、それに伴い新たな仕組みが生まれ、便利さとともに、サイバー攻撃などの脅威も増えています。

サイバーセキュリティ基本法や、IT基本法なども日々見直され、現環境に即したものとなっています。



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