ビジネス活用できるARマーカーとは
最終更新日:2021年02月07日
AR(拡張現実)は「Augmented Reality」の頭文字から取った言葉で、スマートフォンと親和性が高いデジタルテクノロジーの一つです。ARが普及したことによって、“ARマーカー”という言葉も耳にする機会が多くなりました。
では、ARマーカーとは何でしょうか? 簡単に言うと、「ARコンテンツを表示させるきっかけとなる印」です。
登録しておいた写真やイラストを、スマートフォンなどのカメラが認識すると、指定の位置・場所にコンテンツを表示させることが可能となります。
ARマーカーと二次元バーコードの違い
カメラで認識させてコンテンツを表示させるという仕組みとして、ARに似た技術のものに、「二次元バーコード」があります。どちらかというとARマーカーより前から普及しているので、「二次元バーコード」があればいいのではないかと思われるかもしれません。
しかし、ARマーカーと二次元バーコードの大きな違いは、“二次元バーコードが扱えるのは文字情報だけ”ということ。二次元バーコードは長いURLを入力する手間を省いて、指定したウェブサイトに誘導し、簡単にページを表示できるのが特徴です。簡単に作成できるサイトもあるので、すぐに始められるというメリットがありますが、二次元バーコード自体が文字情報を持っているため、二次元バーコード発行後に情報の変更や追加はできません。
一方、ARマーカーは、動画や音楽、3DCGなど、あらゆるコンテンツを表示することが可能となります。情報量の違いを考えると、ビジネスに対してもARマーカーの方が使用用途や可能性も広がるといえるでしょう。
ARマーカーの特徴
あらゆるコンテンツを表示することが可能なARマーカー。ARマーカーは大きく分けて3つのタイプがあります。
一つはARマーカーがしっかりと貼られている「マーカータイプ」。ARの技術は日々進化しており、最初の頃は二次元バーコードのように白黒の画像が主流でしたが、写真やイラストなどをマーカーとして登録することも可能になりました。ただし、色や境界線が曖昧なものになると認識する精度が落ちるため、コントラストがはっきりとしたものがおすすめです。
「マーカーレスタイプ」はその名の通り、特殊なマーカーを設置しないタイプ。画像情報の中から認識対象をスマートフォンなどのデバイスが選別して、リアルタイムに処理を行なっていく仕組みとなっています。物理的にマーカーを設置できない場合にも有効です。問題点は、空間を認識させるタイプなので、四角い表示のマーカータイプよりも計算量が多くなるため、ハードウェアに一定の能力が必要となります。
もう一つは「GPSタイプ」。AR(拡張現実)の技術を広く知らしめた「ポケモンGO」が利用しているのがこのタイプです。GPSの位置情報に加えて、磁気センサーや加速度センサーも利用して、情報やサービスを提供する場所やタイミングを決めていくというものです。GPSを受け取るデバイスの性能によって位置情報などに多少の誤差が生じる可能性はありますが、スマートフォンがあれば利用できるので、非常に便利だと言えます。
ARマーカーを使ったビジネス活用
「ポケモンGO」などのゲームアプリだけでなく、ビジネスにも広い範囲でAR、およびARマーカーの活用が行われています。マーカーを読み込むことで設定された動画コンテンツを表示する「AR動画」は、カタログや情報誌に活用することで、誌面を省スペース化することができ、より多くの情報を読者に届けることが可能となります。
文字だけでは伝わりにくい部分を紹介動画という形で見せることもできます。また、静止画などの写真を動画で表示することによって、多くの情報を伝えられるという利点もあります。
マーカーを読みこむことで出現するタイプと空間を認識して出現するタイプがある「3Dコンテンツ」。マーカーを読み込むタイプでは、紙面やグッズに印刷されたマーカーから3Dコンテンツを表示することができるため、アーティストのグッズやキャラクターグッズなどにも使用されています。
ARマーカーを使ったスタンプラリーも、マーカーを読み込むことで可能となります。紙を使ったスタンプラリーに比べると、用紙を配布する必要がないため、より多くの人を巻き込むことができ、チェックポイントの場所も選ばず、物理的に何か(スタンプ等)を用意する必要もないという利点が挙げられます。
ARマーカーが使用されている状況と今後の可能性
ほか、全国のいろんな地域で始められているのが、ARマーカーを使った観光案内です。GPSタイプのARマーカーを利用して、神社仏閣などの歴史的建造物や、観光スポットにおいて、その場所の歴史などを、音声を使って解説したり、地図と連動させて目的地までの説明をしたり、さまざまな用途で利用されています。
例えば、千葉市にある「千葉市動物公園」では2016年からARポスター「動く!動物AR」を掲示し、スマートフォンをかざすだけで動物のいろんな動画が見られるサービスを行い、沖縄県の南風原町(はえばるちょう)では、ARを使った観光アプリを導入しています。以前から音声による観光ガイドなどを設置している施設はありましたが、専用の機械や設備がなくてもスマートフォンを活用できるので、観光施設に今後さらに多く取り入れられることが予想できます。
さらに、「町おこし」にARを活用している地域もあります。静岡県森町は人口2万人に満たない町ですが、2019年7月に「アクティ森」という町の施設を使った「ロールプレイングトリップ」を実施。専用のARアプリを使ったスタンプラリーで、アプリの地図を見ながら散策して、アクティ森の中に隠されたマーカーを探すというシステムです。
カメラでマーカーを読み取ると、森町の菰張山(こもはりやま)にちなんだ謎キャラ“コモコモ”が出現。「友達になる」をタップすればスタンプをもらうことができます。参加費は無料で、1時間ぐらいでスタンプが回収できるので気軽に参加できるのも魅力。有料の“遊者”のコスチュームを着ると、コスチュームのある部分にマーカーが設置されているなど、より多くのスタンプを獲得できる仕組みにもなっています。地方自治体の町おこしPRのイベントですが、奇抜なアイデアのため、お披露目を謎キャラと共に東京で行い、広く知らしめることに成功。始める時点で、町の知名度も上げることに成功しています。
他に、株式会社アトラックラボと佐賀大学との共同開発で、ARマーカーを使ったドローンの3次元空間での制御を可能にしています。ドローンにARマーカーを搭載して、俯瞰のカメラによって認識させることで、3次元での自律制御ができるようになりました。
これまでは数センチレベルの制御を行うためにはステレオカメラなどの機材を必要としていましたが、これによって安価なWEBカメラでも大丈夫なため、コストも大幅に削減。今後はドローンだけではなく、例えば、ビニールハウスで自律運転する車両型ロボットの制御などで農業の分野でも活用できることが期待されています。
まとめ
このようにARはさまざまな分野で活用される可能性を秘め、それが起爆剤となり新たな経済活動が活発化していくきっかけになる技術として、今後さらに注目を集めていきそうです。
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