AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の違いとは
最終更新日:2021年02月07日
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)。どちらの言葉も数年前と比べるとよく耳にするようになりました。しかし、その2つの相違点などについては、まだまだ多くの人に知られていないのが現状です。
AR(拡張現実)とは
ARは「Augmented Reality」の略称で、“拡張現実”という意味になります。実在する環境にバーチャルな視覚情報を重ねて表示することで、目の前の現実世界を“拡張”させていきます。通常の視覚だけでは感知できない情報をプラスしたもので、スマートフォン向けのサービスとして着々と普及しています。
実用化されているARの例
“AR”が広く世間に浸透したきっかけとなったのは、2016年に発売されたスマートフォン用のゲームアプリ「ポケモンGO」。世界的ヒットとなったこのソフトは、ピカチュウなど、お馴染みのポケットモンスターを捕獲するゲームで、登場したポケモンたちがスマホの画面を通して、目の前の現実世界に重なって表示されます。それによって、ポケモンたちが目の前にいるような感覚に!
顔を認識させて、さまざまなエフェクトをリアルタイムで画面上に表示させたり、撮影したりすることができる「SNOW」も多くの人が利用し、ARの効果、楽しさを広めていきました。
他に、ヨーロッパ発祥の家具量販店「IKEA」では、ARを導入したアプリ「IKEA Place」を2017年に導入。ソファやテーブル、タンスなど、大型家具を購入する時、面倒な作業となるのが採寸です。気に入った家具が見つかったけれど、置きたい場所に収まるのか心配。そんな人も多いはず。
このアプリでは、ソファから収納ケースまでIKEAの商品、約2,000点が掲載されたカタログから商品をタップして、スマホでかざすだけ。そこに置いた時のフィット感が簡単に確認できます。2019年にはアプリのインターフェイスを一新して、複数の家具を設置した様子や、部屋全体をコーディネートしてくれる「部屋セット(Room Sets)」などの機能も追加されています。
「星座表」というARアプリも注目度が高く、1,400万人以上の人がダウンロードをしています。名前の通り、夜空の星座を正確に教えてくれるアプリです。昔は紙製の星座表を持って、季節と方角を頼りに星座を探していましたが、スマホやタブレットを夜空にかざすだけで星座が分かり、タップすれば星の名前も表示されます。
より実用的なアプリが「Google翻訳」内の機能の一つ「Word Lens」。翻訳したい文字列にスマホのカメラをかざすと、訳された文字がリアルタイムでスマホの画面に重ねて映し出されます。画面内の同じ色をひとかたまりとして文字認識をして、学習した辞書データと読み合わせて単語を翻訳するという仕組みになっています。翻訳が単語レベルで行われているため、文章の翻訳に関しては、現在のところ精度はそれほど高くありませんが、単語の意味を知りたいというレベルであれば、かなり重宝するアプリとなっています。
VR(仮想現実)とは
VRは「Virtual Reality」の略称で、「仮想現実」と訳されます。この言葉自体は「AR」よりも早く、1990年代の前半から聞かれるようになりました。コンピュータや映像表示デバイス、電子制御などと組み合わせることで、まるで現実かのような“仮想空間”に入り込んだような感覚を味わうことができます。
タイプは大きく分けると2つあって、一つは「CG」を使ったもの。もう一つは「映像」を使ったもの。CGを使ったVRは、CGで作られた仮想世界に入り込むもので、現実とは全く違う、例えばファンタジックな異世界を作り込むことも可能です。
一方の映像タイプは、360度カメラで全方向を同時に撮影した映像を使い、自由視点で再生することができます。実在の場所を撮影し、あたかもその空間にいるような体験が楽しめます。CGとは違い、映像をクリエイトする技術を要さないため、製作面でのコストを抑えられることも魅力と言えるでしょう。
実用化されているVRの例
創り出した仮想空間を体感するために使用するデバイスは、「VRヘッドセット」「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)」「VRゴーグル」と呼ばれています。VRの名前を広く知らしめたのはゲーム。1992年にSEGAがアーケードゲーム用筐体(きょうたい)として「V.R.バーチャレーシング」を発売。映像技術としては最先端だった3Dポリゴン描画を導入して、ヘッドセットなどのデバイスはまだ使われていませんでしたが、その当時から「バーチャル」という言葉は広がりつつありました。
今では家庭用ゲーム機でもVRヘッドセットを使って遊べるものが多くなり、何度も映画化されたサバイバルホラー「バイオハザード」シリーズも恐怖感がリアルに再現されています。シューティングゲームや深海へのダイビングシミュレーションなどでVR の世界を存分に楽しめる「VR WORLDS」というソフトも人気です。
他に、医療現場での手術のトレーニングにもVRが使われています。実際の人体を使わず、バーチャル空間の中でトレーニングすることで、正確、かつ、より安全に訓練ができるようになりました。
コロナ禍の中、エンタメ業界ではコンサートやイベントの開催が自粛され、無観客での配信ライブが行われることも多くなりました。配信ライブというスタイルもすっかり定着した感がありますが、それと同時に、VRでのライブ配信というものも浸透しつつあります。
VRゴーグルなどを着用してコンサートなどを見ることで、その会場にいるかのような臨場感が味わえます。自分自身の視点を変えるだけでいろいろな角度で見られたり、好きなところを見られるので、カメラのスイッチングに関係なく、コンサートを堪能できるという魅力もあります。
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)にはどのような違いが?
これまで具体的な例を挙げてきましたが、では、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)はどのように違うのかを改めて説明しましょう。現実世界で人が感知する情報に別の情報を加えて(重ねて)表現するのがAR=拡張現実となります。
そして、仮想世界(ゲームなどの作られた世界)やコンサート会場(演劇の舞台など)を、時間や空間を超えて現実世界のように表現し、体験させてくれるのがVR=仮想現実です。
ARはスマホがあれば使えるアプリも多いので、日常生活の中で活用されることが多くなり、VRは教育・医療などの現場において需要がより多くなっていくと予想されています。
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